本当はすごい?イグノーベル賞

今年は2人の日本人がノーベル化学賞を受賞しましたね。おめでたいことです。

さて、ノーベル物理学賞はグラフェンの発見に対して送られました。グラフェンに関しては何回か前にこのブログで取り上げました(http://ballackuma.blog119.fc2.com/blog-entry-72.html)。2人の方が受賞しているのですが、そのうちの一人、Geim氏は過去に、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられるイグノーベル賞も受賞したことがあるそうです。

その理由が、「カエルと力士を浮揚させるための磁石の使用に対して」だそうです。力士に関してはよく分かりませんが、カエルが浮揚しているようすはYoutubeにありました。
http://www.youtube.com/watch?v=m-xw_fmB2KA

いやー、面白いですねえ。

これを見たバイオ研究者の妻曰く:
「これ何ガエル?」
私:「えっ、とても若いカエルとしか書いてないけど…」
妻:「テキトーだなあ。アフリカツメガエルだけど、tropicalisとlaevisのどちらだろう?」

バックグラウンドが違うと、目の止まるところが違うんだなあと再認識して、引き続きこの話題を。


このカエルは磁気で浮揚しているのですが、別にカエルに磁石を埋め込んだとかいうわけではないようです。私はざっと調べただけなのでよく分かっていませんが、とにかくカエルを構成する原子分子の反磁性を利用しているのだそうです。

反磁性というのは、磁場をかけたときに反発する力が働くような磁性、とでもいえば良いと思います。要するに机の上に磁石を置いといてその上に反磁性体を持ってくれば、重力に逆らう上向きの力が働くわけです。超伝導体のような特殊なものが反磁性体の代表例で、私も超伝導体を浮かせる学生実験をやったと記憶してます。でも、別にそんな高度なものを使わなくても、カエルにも強くはないけど反磁性があるから十分な強さの磁場をかければ浮くんだ、ということを示すのが実験の目的だったようです。なんか、このブログで数回前に紹介したお菓子のゼラチンでレーザー発振させるのとよく似ています(http://ballackuma.blog119.fc2.com/blog-entry-71.html)。

この研究成果をまとめた論文のリンクを張っておきます。
http://iopscience.iop.org/0143-0807/18/4/012/pdf/0143-0807_18_4_012.pdf

たいていの人は読む気になれないでしょうけど(私自身、最初の1ページ目とカエル浮揚のページをざっと読んだだけですが)、ざっと眺めるだけでも真面目に科学していることが感じられるんじゃないかと思います。単に上向きの力を与えるんじゃなくて、空間の一点で安定して浮いていられるように計算されているようです。電場や磁場でポテンシャルの極大や極小を作れない事を示すアーンショーの定理に関わる、かなり深い話だと思います。

そういえばグラフェンの発見も、粘着テープでへき開するという、現代科学とは思えない手法だったと思います。カエルを浮かせるのと同じノリでやったのでしょうか?

ちなみに、今年のイグノーベル賞は「粘菌を使って鉄道網の最適な路線を設計できることを示したことに対して」北海道大学の方たちを含めたグループに送られています。このブログでも取り上げました(http://ballackuma.blog119.fc2.com/blog-entry-32.html)。北大は今年、本家のノーベル賞とイグノーベル賞を同時受賞ですか。おめでとうございます。

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イグノーベル賞の先見

しかもカエル浮上のもう一人のauthorは(Berry位相の)Berryですね。
両方の著者がノーベル賞をもらうなんてことになったらすごいことです笑

Re: イグノーベル賞の先見

ttrr様

ほんとですね。
去年のトムソン・ロイターの予想の一番手がアハラノフとベリーだったこともありますし、
ほんとにありうるんじゃないですかね?
プロフィール

バラッくま

Author:バラッくま
色々あったのち東京深川在住の科学技術系の研究者。
クマに似ている。最近はカピバラにも似ている。
専門: 量子エレクトロニクスなど。
休みのときは、(有休を取ってまでして)落語、スキューバダイビング、スポーツ観戦(相撲など。両国が近いのでうれしい。)、音楽鑑賞などを少しずつ。

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