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すごい人は哲学も深い

アメリカの17歳の少女が203キログラムあるクマを至近距離から弓矢で仕留めたのだそうです。

そりゃ、クマもびっくりでしょうなあ、17歳の女性にまさか弓矢で逆襲されるとは。

クマにとっても人生何が起こるか分からないし、どんな死に方するか分かんないよなあと再認識しつつ、本題です。


今日は「究極の宇宙法則 (アブダス・サラム著、和田純夫訳)」から。

電磁力と原子核の内部で作用する弱い力を統一した業績で知られるサラム氏の講演と、量子力学の創始者として知られるハイゼンベルグディラックの講演を掲載した本です。メインはサラム氏の素粒子の話で、物理理論における統一の歴史から分かりやすく書かれております。しかし、素粒子を説明するには私はあまりに力不足ですし、一般向けの本もたくさんあるでしょうから、そこは放っておいて、ハイゼンベルグの話から、実験屋の私の目から見てなかなか面白いなあと思った部分を抜き出してみます。全然最新トピックスではないですが、ご容赦下さい。観測と理論についての話です。

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…まず重要だったのは、観測量についてだけ考えるということでしょう。しかし、1926年、ベルリンで量子力学についての話をしたとき、アインシュタインにこの考えをたしなめられました。

「君のこの奇妙な理論に流れる哲学は何なのかね?理論はとてもうまく出来ているようにみえるが、観測量だけとはどういうことなんだろう。」
ということでした。霧箱では電子の軌道が見えてはいるのですが、電子の軌道ということは私はもう信じていませんでした。本当に観測できる量だけを考えるべきだと思っていましたし、これはアインシュタインが相対論で使った哲学だと思っていました。彼は絶対時間というものを放棄し、特定の座標系での時間という考えを導入していたからです。私がそのように説明すると彼は笑って言いました。
「そんなことは全くの間違いだよ。」
「でもあなた自身が同じ哲学を使ったのではないですか?」
「その通り、使ったのかもしれない。でもやっぱり間違いなんだ。」
アインシュタインは、ほんとうはその逆なのだと説明しました。
「何かを観測するかどうかというのは使う理論によることなのだ。理論の方が何が観測されるかを決めているのです。」
彼の理論は次のようでした。
「観測というのは、現象と、現象の実現化との間に、何かの関係をつけることだ。原子の中で何かが起きる。そして光が放出され写真板にあたる。その写真板を我々が見て、と続いていく。原子と我々の目、そして意識のあいだに起こる現象全体を考えたときに、古い物理学に劣らずすべてがうまくいっていなければならない。この一連の現象に関する理論を変えるのなら、もちろん観測の方も変えねばならないのだ。」そして、何が観測されるのかを決めるのは理論の方であると主張したのです。このアインシュタインの意見は、後でボーアと私が量子論の解釈についての議論をしたとき大変貴重でした。(pp.71-72)
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哲学的なのですべてを理解出来ているとは思えませんが、「深いなあ~」と思います。従来の観測は従来の理論に則って行われているのでしょうから、理論を変えようと思ったら、それまでの観測結果は使えない、少なくとも全てが役に立つわけではないということでしょうか?観測できないはずの量まで考慮しろということでしょうか?ちなみに、同じ本の中でディラックはハイゼンベルグを以下のように評しています。

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ハイゼンベルグは、1925年には膨大な量になっていた分光学のデータを使い、実験に基づいて仕事をしました。その多くは役に立ちませんでしたが、役立つものもありました。多重項のスペクトル線の相対強度のデータなどです。膨大な情報の中から重要なものを選び出しうまく整理できたのは、彼の天才によるものでした。
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こんな高尚な話ではないでしょうが、理論に実験が引っ張られたり、その逆が起きたりというのは有りがちなことだと思います。実験してみて理論とずれていれば、おかしいなと思うでしょうけど、合えば間違いないと思ってチェックが緩くなるのは人情ってもんでしょう。とある人が”intellectual phaselock”なんて揶揄していたそうです。フェーズロックというのは簡単にいえば2つの波を同期させることで、「知的なフェーズロック」とでも訳すのでしょうか。座布団3枚くらいあげたくなります。気をつけなきゃいけないんでしょうけど、現実にはなかなか難しいでしょうな。まあ、少し慎重になることも必要ということでしょう。

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テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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プロフィール

バラッくま

Author:バラッくま
色々あったのち東京深川在住の科学技術系の研究者。
クマに似ている。最近はカピバラにも似ている。
専門: 量子エレクトロニクスなど。
休みのときは、(有休を取ってまでして)落語、スキューバダイビング、スポーツ観戦(相撲など。両国が近いのでうれしい。)、音楽鑑賞などを少しずつ。

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