一流は冗談がお好き?

昨日、スーパーの荷物を積めるためのテーブルの上に、買ったブドウを置き忘れて帰ってきてしまいました。

数時間後に気付いてスーパーに電話したら、「ああ、そんなブドウがありました。」といって、無事もって帰ることができました。

「日本っていい国だなあ」と思い、「オレって自らの馬鹿さ加減を運で乗り切ってきたよなあ」と回想したところで、本題です。


今日は、Optics & Photonics News, February 2005, pp. 14-16
“Edible Lasers and Other Delights of the 1970s” (Theodor W. Hansch)から。
ネット上にpdfが転がっていたので、リンクをはっておきます(英語ですが)。
http://copilot.caltech.edu/classes/aph9/edible-laser_one-drop-laser.pdf

Hansch氏が自らの1970年代の業績を回想しながら書いたものなので、決して新しいネタではないのですが・・・。

edible laserというのは日本語にすれば「食べられるレーザー」ということになります。1971年に、ゼラチンのデザートを用いて、レーザー発振させたとのことです。

今考えても冗談のような話ですが、70年代に本当にやってしまったんですねえ。「なんでこんなことしたの?」と聞きたくもなりますが、別に本気で食べられるレーザーを作りたいと思ったわけではなく、「どんなものでも十分に励起してあげればレーザー発振するんだ」という持論を示すためにやったのでそうです。「あのお菓子のゼラチンでできればさすがにみんな納得するんじゃないの?」と考えたのでしょう。

こんなファンキーなことをしたHansch氏も、そのボスだったSchawlow氏も、双方とも後にノーベル賞をもらうことになる超一流の物理学者です。やっぱり、スゴイ人は考えることが違う、ということなんでしょうか。

すでに40年近く経った今、別にこの食用レーザーが実用化されて人の胃袋で役に立っているとか、そんな話は全く聞いたことはありません。しかし、だから全く役に立っていないかといえば、そんなことはないんでしょうな。当時レーザーをつくっていた人たちがなかなか発振しなくて苦労しているときに、「ゼラチンで出来るんだからこれができないわけないだろ」と思わせるだけのインパクトはあったかもしれません。

それにしても、ノーベル賞の対象になった光コムの研究以外にも数々の業績を持つHansch氏が、回想した上でこのネタを取り上げるほど、本人にとっては重要な成果のようです。

僕にはなかなか真似できませんが、こういう冗談みたいなのもそれなりに大事だと思います。NatureやScienceのような超一流誌に載るとは思えませんが、研究の価値って、それだけじゃないんですよ、きっと。裾野に広げることだって、きっと大事なんですよ。

…と、NatureやScienceに投稿したことすらない私が言ってみる。

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バラッくま

Author:バラッくま
色々あったのち東京深川在住の科学技術系の研究者。
クマに似ている。最近はカピバラにも似ている。
専門: 量子エレクトロニクスなど。
休みのときは、(有休を取ってまでして)落語、スキューバダイビング、スポーツ観戦(相撲など。両国が近いのでうれしい。)、音楽鑑賞などを少しずつ。

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