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たかが4%されど4%

ダイビングすると、ウツボという生物をよく見かけます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%84%E3%83%9C

いつも岩の間からイカツイ顔を出して、今にも噛み付きそうな感じで口をパクパクさせているんですけどね。

近づいても、至近距離でカメラのフラッシュ炊いても、全然襲ってこないんです。それどころかエサのはずの小魚が目の前を通りすぎても無視なんです。

インストラクターによると死にかけた小魚しか食べないらしいです。だったら、なんで常に顔を出して臨戦態勢なんだろう…

と考えていたら、眠れませんでした。

さて、本題です。


今日はナショナルジオグラフィックニュースから。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20100708001&expand#title
以下、引用します。

****************************
陽子は通説より小さいと示す実験結果

原子の構成要素である陽子は通説よりも小さいとする実験結果が発表された。今後、物理法則の根本がひっくり返ってしまうかもしれない。
すべての原子は原子核とその周囲にある電子で構成される。原子核は中性子と陽子から成り、両者はクオークと呼ぶ粒子でできている。長年、陽子の半径は0.8768フェムトメートルとされてきた。1フェムトメートルは1000兆分の1メートルを表す。
陽子の半径は、60年の歴史を持つ量子電磁力学(QED)理論の方程式に不可欠な数値だ。重力以外のあらゆる力が素粒子に及ぼす影響を説明する素粒子物理学の標準模型も、QEDを基礎にして成り立っている。
しかし、まだ1%の誤差が残っており、QED理論を完璧なものとするには精度が足りない。物理学者たちは誤差を解消する方法を模索してきた。
ドイツ、ガルヒンクにあるマックス・プランク量子光学研究所のランドルフ・ポール氏率いる研究チームは、水素原子を変化させる特別な粒子加速器を使用して10年間にわたり実験を行った。水素原子は、陽子と電子1つずつで構成されている。
実験では、水素原子の電子を、その200倍の質量を持つミューオンと呼ぶ粒子に置き換えた。
研究チームのメンバーで、スイスのパウル・シェラー研究所に所属するアルド・アントニーニ(Aldo Antognini)氏は、「ミューオンは非常に重いため、陽子のすぐそばを周回する。つまり、陽子のサイズに影響を受けやすくなる」と説明する。
ミューオンは不安定な粒子で、わずか2.2マイクロ秒でほかの粒子に壊変する。壊変前に原子へ向けてレーザーを照射すれば、ミューオンが励起し、高いエネルギー準位、つまり高い軌道に移ることは既に知られていた。その後、余分なエネルギーをX線として放出し、低いエネルギー準位へと戻っていくはずだ。
エネルギー準位にどれくらい差が生じるかは、陽子の大きさによって決まる。また、陽子の大きさは放出されるX線の周波数も左右する。
しかし、従来の陽子半径から予想される周波数のX線は放出されなかった。
そこで2009年夏、研究チームは有効と思われる陽子半径の検出範囲を逆に広げてみた。すると驚くことに、半径0.8418フェムトメートルに対応する周波数が検出された。従来より4%も小さく、誤差の範囲を超える数値だ。「われわれもびっくりしている。今はまだ、どうしたら説明できるかわからない」とアントニーニ氏は話す。
今回の発見が普通の人々の日常に影響を与えることはまずない。しかし、正しいと証明されれば、素粒子物理学の根幹を揺るがすことになる。
もし陽子が小さければ、リュードベリ定数が間違っていた可能性が出てくる。リュードベリ定数は、さまざまな元素から光がどのように発せられるかを表し、分光法に欠かすことができない。分光法は、ガスとちりでできた巨大な星雲や銀河に存在する元素の解明などに用いられている。
リュードベリ定数が間違っていなければ、今度はQEDの方程式が成り立たなくなる。英国国立物理学研究所の科学者ジェフ・フラワーズ氏は実験結果を受け、「まさに激震だ。QEDを丸ごと見直すことになり、新たな理論の扉が開かれるかもしれない」と語る。
今後は、世界中の物理学者が実験方法や複雑な計算を精査し、間違いがないかどうかを確認する。もし間違いが見つからなければ、次は標準模型を作り直すことになるかもしれない。
この研究結果は、「Nature」誌の7月8日号に掲載されている。
**************************************

要するに、従来の測定方法では陽子の半径を測定するのに1%の誤差があったから、もっと正確に真の値を得ようとして精度の上がる手法を使って測定してみたら、従来の測定値に合わなかった、ということでしょう。

そりゃ驚くでしょうなあ。普通は新しい測定値も従来の測定値+-誤差の範囲内に出てくるはずですから。従来の誤差の範囲の中のいったいどの値なのかを知りたくてより精度を上げて測定したら、従来の誤差を明らかにはずれた値が測定されたわけです。

陽子の半径が従来知られてきた値よりも小さいとすると、リュードベリ定数かQEDのどちらかが塗り替えられる可能性があると書かれております。リュードベリ定数は原子のエネルギー準位を決める非常に基本的な物理定数の一つですし、すでに12桁くらいの精度で測定されているようですから、これが大きく塗り変わるようなら衝撃でしょう。じゃあ、今までのリュードベリ定数の測定値はどうして出てきたんだ?となります。QEDを見直して標準模型を作り替えるなんてことになったら、素粒子物理の根幹を揺るがすのでしょうし、それこそすごいことでしょう。

この先の確認作業の結果がどうなるか分かりませんが、理屈通りに行かない方が物理としては面白いんです。

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テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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バラッくま

Author:バラッくま
色々あったのち東京深川在住の科学技術系の研究者。
クマに似ている。最近はカピバラにも似ている。
専門: 量子エレクトロニクスなど。
休みのときは、(有休を取ってまでして)落語、スキューバダイビング、スポーツ観戦(相撲など。両国が近いのでうれしい。)、音楽鑑賞などを少しずつ。

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