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光波の映像を見る

この間、同期の赤ちゃんを見に行ったら、おもいっきり泣かれました。
子供と年寄りには人気があったはずなのですが...

でも可愛かったので、本題です。

今回も応用物理学会誌2009年10月号pp.976-980から。以下、タイトルと要旨のみ引用します。

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表面プラズモンのフェムト秒時間分解イメージング

       久保 敦

フェムト秒レーザーを励起光源とする時間分解2光子光電子放出と光電子顕微鏡法とを組み合わせた時間分解光電子顕微鏡法により、銀薄膜表面を伝搬する表面プラズモンポラリトン(SPP)を動画像化する。SPPの動きは、SPP波束と局所分極場の干渉により形成される分極ビートの空間的な変位として記録される。SPPの伝搬、分散、減衰などのダイナミクスは、銀の誘電関数から求められるSPP複素波数ベクトルで理解できる。
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表面プラズモンポラリトン(SPP)というのは、金属と誘電体(例えばガラス)の界面に生成される電子の波のことです。普通はレーザーを照射することにより励起し、レーザー波長などの条件が整うと共鳴的に増強されるという特徴があります。存在自体はかなり昔から知られているはずで、ステンドグラスの色は金属微粒子のSPPによるものだそうです。最近になってSPPの研究は活発になってきているように思います。生体物質などの高感度検出器に使ったり、光デバイスの微小化に貢献したり、いろいろあるようです。

フェムト秒レーザーというのは、1fsから数100fs(1fs = 10^-15秒 = 0.000000000000001秒)の間だけ瞬間的に発射するレーザーのことです。物質の瞬間的な状態を調べるためによく用いられます。また、最近ではフェムト秒レーザーを光の周波数のものさしとして使う光コムというしゃれたものもあります。

さて、この研究では、金属表面に走るSPPの電場の波を画像化しようというのです。しかし、波を直接観測できればよいですが、光の波は大体1秒に10^14= 100,000,000,000,000回位振動します。こんな速い振動をダイレクトに観測するすべは、現代科学技術をもってしてもないと思います。

そこで、この研究では、2つのレーザーパルスの干渉(波がお互いに強めあったり弱めあったりすること)を用いています。時間幅10 fsのレーザーパルスを照射して銀薄膜にSPPを発生させるとともに、30 fsくらい遅らせて2発目のパルスを照射します。SPP波束の伝搬速度は、空気中の光の速度よりも遅いので、一発目のパルスで励起されたSPPは2発目のパルスに追いつかれます。そして、お互いが干渉して、強めあう箇所ができます。そこでは、強い分極ができて光電子電流なるものが生じ、それを観測することでSPPの波が画像として観測できるということのようです。そして、1発目のパルスと2発目のパルスの間隔を変えることにより、コマ送り画像が取得できて、時間とともにSPPの波が動いていくさまが観測されるとのことです。これらの顕微鏡システムを干渉時間分解光電子顕微鏡とよぶのだそうです。(ちなみに、このリンク先ではおそらく著者の方が書いたであろう記事があり、私のブログより正しい情報が得られます。SPPの波の画像も載っています。)

なにより、視覚的にわかるというのはすばらしいことだと思います。物理の授業とかで数式をいっぱい持ち出されて説明されるより、画像をみれば一発でわかる、なんていうのは学生さんだけじゃなくて、私程度のレベルの研究者だったら同じことです。それにしても、この動画は10ミクロンくらいの距離を光の速さで伝搬する波の映像ですから、人間の目で追える速さで再生するとなると超スローモーションなんでしょうけど。

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バラッくま

Author:バラッくま
色々あったのち東京深川在住の科学技術系の研究者。
クマに似ている。最近はカピバラにも似ている。
専門: 量子エレクトロニクスなど。
休みのときは、(有休を取ってまでして)落語、スキューバダイビング、スポーツ観戦(相撲など。両国が近いのでうれしい。)、音楽鑑賞などを少しずつ。

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