スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

未来のコンピューター

毎年冬になるとりんごをお取り寄せする青森のナカムラ果樹園さんなのですが、パンフレットに会員専用パスワードが記載されています。あれでよろしいのでしょうか?

しかし、りんごはメチャクチャうまいですということだけは強調させていただいて、本題です。

今日はパリティ、Vol. 24, No.12 2009-12, pp.32-35から。妻から「パリティばっかりだなあ。」とクレームが付いてますが、読んじゃったんだから仕方がない。以下、タイトルと簡単な要旨のみ、引用します。

***********************************************
量子コンピューターでの困難解決の一歩

チャールズ・デイ (村田惠三 訳)

NMRの技術を借りて、πパルスのタイミング取りの微妙な調整により、量子コンピューターでの困難である量子情報の勝手な変化(デコヒーレンス)を抑えることができる。
************************************************

量子コンピューターを用いると、現在のスーパーコンピューターでも1千万年かかると言われている300桁の素因数分解を、数十秒で解けてしまうと言われています(http://www.nec.co.jp/rd/innovative/E3/top.htmlより)。従来のコンピューターとは原理的に異なっています。従来のコンピューターは「0」か「1」の数字を表すビットをいろいろ操作して計算していくのですが、量子コンピューターの場合には「0」と「1」の重ね合わせで表される量子ビットというものが使用されます。重ね合わさったまま計算処理すれば、従来なら何回も計算処理しなければならなかったのが一度でできるということで良いと思います。詳しくは上記のホームページを参照していただいた方がよろしいでしょう。

さて、この量子コンピューターですが、デコヒーレンスというのが実現への重大な問題となっています。誤解を恐れずにごく簡単に言えば、外部環境に影響を受けて各量子ビットの重ね合わせ状態がバラバラに変化してしまうということでよろしいかと思います。どういった量子ビットを用いるかによるでしょうけど、デコヒーレンスは1/1000秒位の非常に短い時間で起こってしまうようです。

こうしたデコヒーレンスの問題を解決するために、スピンエコーというNMRで用いられる技術を用いるのだそうです。ちなみに、最近体内の3D画像を取るのに医療現場で用いるMRIはNMRを応用したものです。スピンエコーというのは、スピンの向きが徐々に変わってきたところで瞬間的にラジオパルス(電磁波の一種)を印加してスピンの向きを正反対にして、その後逆の変化をたどって元のコヒーレントな状態に戻ることを利用した手法ということで良かろうかと思います(説明がざっくり過ぎて正確ではないと思いますけど)。この実験では、量子ビットとして磁場と電場で捕獲されたベリリウムという元素のイオンを用いました。また、一言でスピンエコーと言ってもいろいろなパルスの系列があるらしく、この実験ではCPMGおよびUDDと呼ばれるパルス系列について結果を比較しています。CPMGやUDDについては私は詳しく知りません。

結果を説明するのがまたややこしく、一言ではなかなか言えないのですが、雑音の周波数が高い場合にはUDDがよく、周波数が低い場合には両者に大差がないということで、大体よろしいかと思います。ただし、UDDの方が良いと言っても、コヒーレンスが持続する時間は2.5 ms (1ms = 1/1000秒)くらいで、これが十分に長いのかどうかは専門家でないと判断がつかないと思います。この手法が量子ドットや超伝導体などのほかの量子ビットに適用できるかなどの問題も残っているようですので、まだ決定的な解決方法とまではいかないのでしょう。

量子コンピューターの研究はここ10年くらい非常に精力的に進められてきましたが、取り上げられているデコヒーレンスの問題や集積化の問題などがあり、まだまだ研究が必要だと思います。まあ、問題がなくなったら研究ネタがなくなってしまうので、解決困難な問題があるというのは研究者にとってはある意味良いことなのだと思います。量子ビットに何を使うかにしても、イオンや原子、半導体の量子ドットや超電導体のジョセフソン接合など候補がいっぱいあって、未だに決着が付いていないようですし。長い目で見て、今後の進展に期待といったところでしょう。

本ネタのようにイオンの場合なんて、おそらく実験装置を見ても、コンピューターだとは全く思えないんじゃないかと思います。真空装置の中の空間にイオンを一つ一つ並べて、光やラジオ波ををあてるわけですからね。ちなみに、この研究成果を出したのはNISTというアメリカの研究所で、秒やメートルやキログラムなどの単位を正確に決める計量標準の研究開発を行っています。こうした研究所で量子コンピューターの研究を行っているところが、アメリカの懐の深さなんでしょうか?ちなみに、NISTのイオンに関する研究といえば、おそらく現在世界最高の精度をもつイオン時計があります。

気に入っていただけたら1クリックを
にほんブログ村 科学ブログへ


スポンサーサイト

テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

バラッくま

Author:バラッくま
色々あったのち東京深川在住の科学技術系の研究者。
クマに似ている。最近はカピバラにも似ている。
専門: 量子エレクトロニクスなど。
休みのときは、(有休を取ってまでして)落語、スキューバダイビング、スポーツ観戦(相撲など。両国が近いのでうれしい。)、音楽鑑賞などを少しずつ。

FC2カウンター
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
気に入っていただけたら1クリックを
人気ブログランキングへ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。