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でたらめの科学

前回は事業仕分けやポスドクについて触れました。やはり関心が高いのでしょうね、いつもなら1日20アクセスもいけば大喜びだったのですが、昨日だけで150アクセス以上ありました。ひとえに皆様のおかげです。このまま科学関連の政治ネタに転向すれば人気ブログになれるかも、と色気も出てきます。

しかし、安易に調子に乗ってこち亀のような展開になるのもいやなので、いつも通り物理のネタに戻します。

今日はパリティ Vol. 24 No. 11 2009-11, p. 45の「ニュースダイジェスト」から。以下引用です。

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半導体レーザーで乱数を高速で生成する

おなじみのソフトウェアによる"乱数発生器"は、決定論的なアルゴリズムに基づいているため、それらの出力は実際にはランダムではない。モンテカルロシミュレーションや音楽のランダム再生といった用途であれば、これはそれほど問題にはならない。しかしほかの、たとえば安全な通信やオンラインゲームといった用途には、確率論的な物理過程の測定によって得られるような、真に推測不可能な数字を使用することが重要である。その候補の一つが、半導体レーザーのカオス的な出力である。ある割合のレーザー光をフィードバックすると、強度の小さなふらつき(量子論的な原因で生じたものと考えられる)が増幅されて、大きく不規則なナノ秒以下の時間スケールの振動になる。拓殖大学の内田淳史らは昨年、2つの半導体レーザーの測定をデジタル化して、ランダムな2進数列を毎秒17億ビットの速さで発生させた---これは物理系を使用するこれまでのどのような方法よりも速い(A. Uchida et al., Nat. Photonics 2, 728, 2008)。レーザーの平均強度にちょっとしたドリフトがあると、1と0のバランスが崩れてしまう可能性があるが、レーザーが適切に調整されていれば、このシークエンスはランダム性に対する統計的な基準を満たす。そして最近、イスラエルのラマト=ガンにあるバール=イラン大学のローゼンブルー(Michael Rosenbluh), カンター(Ido Kanter)と彼らの学生たちは、レーザーを1台しか使わず、強度のドリフトの問題を回避した新しい手法を開発した。連続的な強度測定の間の違いをもとにして、彼らは毎秒125億個の乱数ビットを発生させることに成功した。(I. Riedler et al., Phys. Rev. Lett., in press)
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ランダム(でたらめ)な0と1の数字の羅列を高速に出そうという研究です。でたらめでいいんだから、何てことはなさそうですが、実はとても難しいようです。パソコンでランダムな数字を発生させることはできるけど、それは「決定論的なアルゴリズムに基づいている」のだそうです。私もこの辺の話はド素人なので、安直ですがウィキペディア(決定的アルゴリズム)に頼ってみると、要するに、アルゴリズムがばれてしまうと、次にどんな数字が出るのかが分かってしまうということのようです。これでは、テレビゲームでコンピューター相手に対戦するとき、相手の出方が予測できてしまって面白くないでしょう。こんなこと以外にも、情報通信などでより重要なようです。文中に出てくる内田先生(現在は埼玉大学に移られたようです)の研究室のホームページを覗くと、「レーザカオス秘匿通信」という言葉がでてきます。私には詳しいことは分からないですが、盗聴者によめないようなランダムな数字の羅列を生成することが情報通信のセキュリティ上重要であることは何となく理解できます。

こうした誰にも予測できないようなランダムな数字の羅列を生成するのに、半導体レーザーを使うのだそうです。半導体レーザーは私も毎日のように使っています。なんだか大そうな装置のように思われる方も多いと思いますが、パッケージまで含めても1 cm程度のサイズで、安いものなら100円くらいで売っています。このレーザーには、出射した光がどこかで反射されて戻ってくると、強度や周波数がふらついてしまうという欠点があります。これはわりと厄介で、戻すつもりがなくても光学器具の表面での反射などによって光が戻ってきてしまって悪さをすることがあります。しかし、この記事の実験では、わざと光を戻してあげて、光強度をふらつかせるのだそうです。そのふらつきがどうなるのかが予測できないので、推測不可能な数字の羅列を生成することができるとのことです。

やはり完全にでたらめというのは、難しいんでしょうねえ。人間にとっても同じで、適当に決めようとしても、実は何かしらのアルゴリズムに基づいてしまっているのかもしれません。ランダムにできるのなら、サッカーのPKでどちらに蹴るかというキッカーとキーパーの駆け引きは無意味でしょう。人それぞれ何かしら法則があって、その通りに蹴っちゃったりするんでしょうね。

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テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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プロフィール

バラッくま

Author:バラッくま
色々あったのち東京深川在住の科学技術系の研究者。
クマに似ている。最近はカピバラにも似ている。
専門: 量子エレクトロニクスなど。
休みのときは、(有休を取ってまでして)落語、スキューバダイビング、スポーツ観戦(相撲など。両国が近いのでうれしい。)、音楽鑑賞などを少しずつ。

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