私は江戸っ子でもなんでもないんですが、深川に引っ越してきて、この辺はやっぱり昔ながらの風習が残っているんだなあと思うことがあります。
この間は、子供達20人くらいが「火の用心」の夜回りをやっていました。
ひのよーじん(カン、カン)
サンマ焼いても家焼くな
うむ、かわいいぞ。
さて本題です。
今日は「重力波は歌う」(ジャンナ・レヴィン著、田沢恭子・松井信彦訳、早川書房)の第4章(カルチャーショック)。スコットランド出身のロナルド・ドレーヴァーさんの生い立ちと、カリフォルニア工科大学(カルテク)のソーンさんからオファーを受けてカルテクに渡るまでの話が書かれています。
気難しい神経質な人だったそうです。ただ研究に関しては天才的で、通常の論理に頼らないで直感を働かせる能力があったそうで、ワイスさんによれば「科学界のモーツァルトとでも称するべきオーラをまとっていった。」とのこと。
「ドレーヴァーは毎日、アイデアを洪水のごとくチームに浴びせていた、と誰もが異口同音に言う。アイデアはいくらでも出てきた。しかし決断が下されることはまれだった。翌日になると、ドレーヴァーは自由に研究できる喜びを改めて味わい、困惑するチームにまた新たなアイデアの洪水を浴びせかけるのだった。」
とあります。周りは大変でしょうね。実験って意外とコツコツとやることが多くてそんなにアイデアの頻度自体は多いわけでもないと思うのですが、毎日この調子では、真面目な人ほど辛いでしょうね。
「お金をかけずにできる」ということに喜びを感じたようです。
マッハの原理を調べるヒューズ=ドレーヴァー実験というのがあるのですが(私はよく知りません。すみません。)、よその大学のグループ(おそらくイェール大学のヒューズ)が研究グレードの磁石を使ってやったのに対し、ドレーヴァーさんは地球の磁場を使い、さらに自動車のバッテリーとワイヤーを使ってより高い感度を実現したのです。そういうのが愉快だったそうです。私も正直、研究資金に恵まれている方ではないので、気持ちはわかります。(大きく出すぎました、すみません。)むしろ恵まれてない方が燃えるものがあるというか、腕の見せ所といったところがあるようです。私もそうといえばそうですが、結局大したアイデアは浮かばず、金がない愚痴が始まるんですよね。(ため息)
さて、カルテクからオファーが来た時には、ドレーヴァーさんはすでにグラスゴーで独自の干渉計を作っていました。研究資金などを考えても明らかに魅力的なオファーだったのですが、資金が少ないものの自由に研究ができる地元グラスゴーとの間で気持ちが揺れることになります。しかし、結局カルテク行きを決意します。世界最大の干渉計を手中にし、ソーンもいる。「金をかけずにできる」人に最高の研究環境が整う。「どんなライバル候補も置き去りにできるはずだ」そうドレーヴァーさんも確信するのです。
しかし、それですんなり行くわけではないんです。その辺はまた、次回以降に。
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テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術