すばる望遠鏡400億円は高いか、安いか?(後編)

我が家に夢のマッサージチェアが納入されました。

冷蔵庫でも洗濯機でもなく、先にマッサージ機を買ってしまう爺さん婆さん夫婦ですが、本題です。

今回は前回から持ち越したテーマ「すばる望遠鏡の適正価格は?」で行きます。しかし、引っ張った割には私の頭の中で整理できておりません。

とりあえず、思い当たるところでお金のかかるプロジェクトとそのおよその金額を書いてみます。(適当にネット上で検索して調べたもので、特に裏付けはないですので、ご了承ください)

・ODA年間総額      9000億円
・八ツ場ダム総工費   4600億円
・東京オリンピック招致  150億円
・同 施設整備費     4000億円
・トヨタF1(年間)       600億円

ちなみに科学技術関係の研究費では、
・宇宙での実験棟「きぼう」 総工費            2500億円
SPring-8建設費                       1100億円
スーパーカミオカンデ建設費                100億円
・科学研究費補助金 総額(年間)(補足参照)      1400億円
・最先端研究開発支援プログラム 総額(補足参照) 1500億円

うーん。あの「きぼう」でも2500億円ですからねえ。実際に「きぼう」で実験を始めようとしたら、個々のテーマに対してさらにお金がかかってくるでしょうけど、望遠鏡一つで400億は高いでしょうね。研究成果が出て本当によかったですが、出てなかったら目も当てられなかったでしょう。ちなみに、この手の大型望遠鏡が第一線で活躍できるのは10年くらいだそうで、近い将来には総工費1000億円のさらに大きな望遠鏡を米国などと共同で作ろうとしているそうです。

科学、特に応用が見えない天体観測の分野などは、ある意味文化なんだと思うんです。音楽や絵画、スポーツなどと似たようなものだと思います。そこにお金をかけるのは、そりゃ無制限というわけにはいかないけど、経済的な見返りがなかったとしても有意義なことだと思います。そして、すばる望遠鏡に関しては、なんとか多額の費用を出してもらって、成果が出た。すばらしいことだと思います。

ただ、一点だけ気になるのは、話が少し変わってしまいますが「天文学先進国の欧米にはそれぞれ日本の10倍以上の研究者がいる」ということです。人材のリソースを割くのはお金を費やす以上に大変なことだし、計画的でなければならないと思います。文化に対する認識が欧米は違うということなんでしょうか。私はドイツで研究していたことがありますが、それを感じることはよくありました。一般向けでいえば、ドイツ博物館(科学技術)やペルガモン博物館(考古学)は、飾り気はないですが、昔の本物の飛行機やコンピュータ、さらには遺跡をそのまま展示したり、歴史を感じさせるもので本当に凄いです。

さらに話が変わりますが、同じ研究グループの博士課程の学生には、高校ぐらいまで音楽学校に通っていて、物理に転向した人がいました。ドイツはクラシック音楽の本場ですから、音楽家になることはとても名誉なことでしょう。しかし、音楽で食べていくのは本当に大変なことなので、言い方が悪いかもしれないけど、ドロップアウトする人が出てくるのは仕方ないです。だから、音楽学校といえども勉学をきちんとさせて、他の分野に転向できるようにしているんだと思います。ちなみに、彼は現在、光の周波数を精密に測る装置を製作するベンチャー企業に勤めていますが、音程をあわせるのは音の周波数を精密に制御することと同じだし、音色は心地よいと思える周波数分布を作り出すことと等価ですから、なんだかんだ言って音楽に近い仕事をしているんだと思います。そういえば、FCバルセロナのシャビ選手かイニエスタ選手か忘れましたが、子供にサッカーを教える番組の中で、「サッカーを職業にするのはすばらしいことだけど、それが出来るのはほんの一握りだから、今はちゃんとお勉強もするんだよ」と言っていました。安易に夢を追えと言わないところが偉いと思いました。日本の場合だと、野球選手を目指しているんだから勉強なんてしなくていいんだという指導者も多いらしいですが。逆に、勉強を取って中学受験でも始めたら、野球選手になることはまず無理でしょう。現実を見ながら、経済活動に関わる人材も、科学や芸術やスポーツなどの文化に関わる人材も、どちらも最大限に育成できるシステムができることを期待します。

予想通り話が脱線して、すばる望遠鏡の適正価格はどこかへ行ってしまいました。すみません。

(補足)
「科学研究費補助金」
自然科学のみでなく、ほぼ全ての研究の分野にとって最もポピュラーな競争的資金(研究機関に所属していれば自動的に頂ける内部資金とは違って、自分のやりたい研究をアピールして勝ち取る資金)の一つ。

「最先端研究開発支援プログラム」
麻生政権下において今年度の補正予算で組まれた。元々は2700億円だったが、鳩山政権になって見直され、1500億円に減額された。

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テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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バラッくま

Author:バラッくま
色々あったのち東京深川在住の科学技術系の研究者。
クマに似ている。最近はカピバラにも似ている。
専門: 量子エレクトロニクスなど。
休みのときは、(有休を取ってまでして)落語、スキューバダイビング、スポーツ観戦(相撲など。両国が近いのでうれしい。)、音楽鑑賞などを少しずつ。

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