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トレンドに逆行?

Q: 「ポーランド軍でかつて働いていた動物はなんでしょう?」
A: 「クマ」    だそうです(「クイズ世界ふしぎ発見」より)。

正解VTRでは思わず身を乗り出してしまいましたが、「冬になったら冬眠しちゃうじゃねえか」と、冷静になったところで、本題です。

今回は当ブログ初の英語のネタで。"Physics Today"の中の"Physics Update"から。
タイトル: Accelerating neutral atoms です。リンク先に全文掲載されています。ただし、別に記事を読まなくても分かるように話を進めていくつもりです。

まあ、簡単に言ってしまえば、電気的に中性の原子を、フェムト秒レーザと呼ばれるほんの一瞬しか発振しないけど、その一瞬にものすごく強い強度が出せるレーザを照射することによって加速した、ということです。加速度が10^15 m/s^2というから、わずか0.0000003秒で光速に達してしまうような加速です。それはそれは凄いです。(もっとも、10^-13秒しか照射しないから、原子の到達速度は50 m/s位のようですが)

イオンなどのプラスやマイナスの電荷を持った粒子なら電気的な力で制御できるのですが、中性原子の場合だとほとんど電気の力を受けませんから、やはりイオンよりも難しいはずです。この実験の場合、強烈な光が当たると、原子の中の落ち着いた状態だった電子が励起されて振動して、身動きの自由な電子として振舞って、力を受けるということのようです。しかも、その電子が原子核を引っ張っていって、原子全体が加速するとのことです。

ちなみに、レーザによる中性原子の制御というと、減速させるように頑張るのが普通です。そもそも、原子は室温では数百m/sで飛び交ってます。こんな原子たちの運動や位置を制御しようとしたら、まずこいつらを止めたいと思うわけです。そうして、20年近く前にレーザで原子をとめるレーザ冷却が開発されました。その後、ちょっと難しいですけど、原子の波が可干渉(コヒーレント)になるボーズ・アインシュタイン凝縮なるものも十数年前に実現して、とても騒がれました。そのほかにも、原子泉時計光格子時計などの超精密な時計でもレーザ冷却は使われていますし、原子をナノメートルの精度で制御しようという研究でも、レーザ冷却が必須になっています。今回の記事の実験は、そんなトレンド、というよりも今や常識と言ってもいいようなことに逆行していると感じます。

研究者の中でも、いろいろと考え方というか、理念があります。大きく分けると、世界の研究者が注目する分野でトップに立ってこそ良い研究だとする考え方、もう一つは、唯我独尊というか、誰も開拓していない分野を切り開いてこそ良い研究だとする考え方。何となく、私の印象ですけど、研究者の質としては前者は優等生、後者は大物っていう感じがします。今回のネタは完全に後者なのでしょう。この仕事はMax Born Instituteというドイツの研究所によるものですが、いかにもドイツらしい気がします。日本の場合だと、同じ問題を同じ制限時間で解いてどれだけ点数を取れるかって勝負が教育の基本になってますから、前者が多数派だと思います。ちなみに、私の場合は後者に憧れてますが、実際そうなっているかというと、なかなか難しいものがありますね。小物が大物ぶっているということなのでしょうか。
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テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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バラッくま

Author:バラッくま
色々あったのち東京深川在住の科学技術系の研究者。
クマに似ている。最近はカピバラにも似ている。
専門: 量子エレクトロニクスなど。
休みのときは、(有休を取ってまでして)落語、スキューバダイビング、スポーツ観戦(相撲など。両国が近いのでうれしい。)、音楽鑑賞などを少しずつ。

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