どこまで巨大化するの?

涼しくなってまいりました。

前回の更新から2ヶ月程たち、ひと夏を越したことになりますが、今夏は背中にセミが止まったのに気づかずに歩き続け、屋内のエレベータで指摘されるなど、そこそこ面白いエピソードもありました。

背中から甘い汁でも出ているのではないかと心配しつつ、本題です。

今日は、国際リニアコライダーについて思うところを。

ホームページhttp://aaa-sentan.org/ILC/によれば、
「ILC(国際リニアコライダー; International Linear Collider)計画は、全長約30kmの直線状の加速器をつくり、現在達成しうる最高エネルギーで電子と陽電子の衝突実験を行う計画です。宇宙初期に迫る高エネルギーの反応を作り出すことによって、宇宙創成の謎、時間と空間の謎、質量の謎に迫ります。」
とのことです。
この国際リニアコライダー、あまりにも規模が大きく費用もかさむため、世界各国がお金を出し合って作ろうとしているようです。つい最近、東北の北上山地が国内候補地として選ばれました。ただし、日本学術会議は、誘致を決めるには時期尚早であると判断したところです。
 何しろ、総工費が8,000億円を超え、誘致する国はその半分を支出するそうです。これまで基礎科学にお金をだすことには非常に厳しかった日本がかなりやる気なのですから、その変貌ぶりには驚いてしまいます(もっとも、基礎科学全般で言えば今でも厳しいと思いますが)。
 科学的な詳しいことは、リンク先を見るべきだと思いますが、電子と陽電子の衝突というのが非常に重要で、陽子同士を衝突させるスイスCERNのLHCという現在最高峰の加速器との違いのようです。素粒子が無数に組み合わさっている陽子に比べて、電子・陽電子は素粒子そのものなので、素粒子反応をより直接的に観測できるというのが、肝のようです。
 夢は膨らむものの、目的があまりにも基礎物理すぎて、その価値を理解するのが難しいでしょう。しかも、日本に誘致されたら4,000億円以上を出すことになるのだから、「本当にそれほどの価値があるのか」と考えるのは、ごく自然ではないかと思います。実際私も、「さすがに総額8,000億円はでかすぎるのでは」と思ってしまいます。リンク先の「もしも日本にILCができたら」には、そんな私にけしからんとでも言うかのように、「知の拠点」や「人材の育成」や「ものづくり大国再生」のみならず、「国民の誇り」や「安全保障」に至るまで、国際リニアコライダーの意義がこれでもかと語られております。
 以下、この分野の素人の私なりに、懸念というか、「?」なことを書いてみます。

(1) 際限がなさそう
国際リニアコライダーが成功しても、「宇宙創世の謎などが完璧に分かり、もうこれ以上の実験装置は必要ない」となるとは思えない。謎が謎を呼び、「もっとでかい加速器が必要だ」となる気がする。しかし、さすがに国際リニアコライダーを超えるものを作るのは、現実的に不可能ではなかろうか。巨大化路線もいつかは尽きるわけだから、もっと安く小規模に実験を行うための開発とか、既にある実験施設を使ってより深い物理を探求する方法を考えるとか、そういう方向に研究開発を進めていく必要があると思う。(すでに行っていることだとは思うけど)

(2) 地元の期待はおそらくお金
純粋に科学の進歩に貢献したいというのもあると思うが、これほど大きなものを作って海外からも研究者が集うとなったら、やはり地元の人が期待しているのは、経済効果とか、地域の発展とか、雇用とかだと思います。その期待自体は、別におかしなことでもないし、むしろ有効に利用するべきだと思います。しかし、産業そのものではないから、あまりに期待が大きすぎるとおかしなことが起こるかもしれません。例えば、短期的に滞在する外国人の宿泊用に研究所内にゲストハウスを作ろうとしたら、民業圧迫だと阻止される。研究所内の清掃が頻繁に行われたり、過剰に食堂の作業員や警備員が配置されるなど、肝心な研究費や研究員の採用よりも地元の雇用が最優先される。などなど。こうなってくると、日本人の研究者なら「仕方ねえか」と納得してくれるかもしれないが、海外の研究者が納得してくれるかは疑問。もっとも、こんな細かい話ですめば良いのかもしれないが。


結局、くだらない内容になってしまいましたが、
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テーマ : 自然科学
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プロフィール

バラッくま

Author:バラッくま
色々あったのち東京深川在住の科学技術系の研究者。
クマに似ている。最近はカピバラにも似ている。
専門: 量子エレクトロニクスなど。
休みのときは、(有休を取ってまでして)落語、スキューバダイビング、スポーツ観戦(相撲など。両国が近いのでうれしい。)、音楽鑑賞などを少しずつ。

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