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正反対の原子

投稿していた論文が掲載拒否になってしまいました。約一年前から投稿し続けて、これで4誌目。

結構自信作なんだけどなあ。こんなことは今回が初めてです。

まあ、このブログのようにのんびり気長に投稿し続けることにしましょう。


さて、本題です。

今回は、「反水素」について。

水素は中心にプラスの電荷を持つ陽子があり、その周りをマイナスの電荷を持つ電子が回っているわけですが、反水素というのは、マイナスの電荷を持つ反陽子のまわりをプラスの電荷を持つ陽電子が回っている物質のことを言います。水素と反水素は基本的には同じエネルギー構造を持っていて、例えば強く吸収される光の周波数は両者とも等しいわけですが、これらの周波数が本当に等しいのか、等しいならどのくらいの精度まで等しいといえるのかを調べる研究(よく「分光」と呼びます)が進んでいるようです。パリティの2012年1月号の「物理科学、この一年」というシリーズに反水素の研究の記事が載っているのですが、それによればこの研究は、「私たちの住む宇宙がCPT対称性をもっているかどうかという、現代物理学の根幹に関わる命題を実験的にテストする」ものなのだそうです。

CPT対称性や反水素分光の詳細についてはここで書くより、http://nucl.phys.s.u-tokyo.ac.jp/hayano/jp/cpt%E5%AF%BE%E7%A7%B0%E6%80%A7.htmlなどを参照していただいた方が良いと思うのですが、思えば2005年ごろに滞在した海外の研究室で聞いた最初のセミナーがこの反水素の発表だったので、ちょっと懐かしく思ったわけです。

私はこのプロジェクトに入ったわけではなかったですし、anti-Hydrogen(=反水素)という単語からして知りませんでしたから、英語で聞いてもほとんど分かりませんでした。「これでやっていけるのだろうか?」と少し不安になったものでした。内部のセミナーを聞いてから外部に公開されたホームページを見て勉強したわけですから、なんだか訳がわからりません。

あの頃は、まだ目標としている実験結果が出るような状況ではなくて、発表も下準備のような話(でも、こういう話ほど、往々にして技術的にはハイレベルなのです。)が主だったと思うのですが、今では反水素を空間の一点に捉えたり、大量合成したり、色々と進んでいるようです。

私が滞在した研究室の大ボスは、水素原子の精密分光をひたすら何十年もやり続けてきた人で、現在実現している14桁という精度に多大な貢献しているのですが、そのデータが反水素との比較で生かされるわけですから、「石の上にも○十年」というのも、必要なことなのでしょう。

私も、一年くらい論文が通らなくても、何食わぬ顔でがんばろうと思います。

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テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

バラッくま

Author:バラッくま
色々あったのち東京深川在住の科学技術系の研究者。
クマに似ている。最近はカピバラにも似ている。
専門: 量子エレクトロニクスなど。
休みのときは、(有休を取ってまでして)落語、スキューバダイビング、スポーツ観戦(相撲など。両国が近いのでうれしい。)、音楽鑑賞などを少しずつ。

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