宇宙の現象を水でためしてみる

先日久々に携帯の赤外線を使おうとしましたが、よくわかりませんでした。

いやー、おっさんだなあ。
もっとも、若いころから若く見られませんでしたが。

こういうタイプは年取ってから若く見られるからいいんだ、と気休めを言ったところで本題です。


今日は、パリティ Vol. 26 2011-04, p. 42から。以下引用します。

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実験室でのホーキング放射の実験

ホーキング(Stephen Hawking)は1974年に、ブラックホールが蒸発することを提唱した。
これはどういうことかというと、まずブラックホール近傍の真空のゆらぎによって、粒子―反粒子対が発生する。対のうちの一方がブラックホールに落ち込み、他方は逃げていく。逃げていく粒子はエネルギーを持っているので、ブラックホールはエネルギーを失うことになる。ブラックホールの質量に反比例する黒体放射温度をこの過程に割り当てることができるのだが、温度は非常に低い―太陽質量の場合で100 nKの桁―ため、放射を直接観測するのは難しい。
 だがウンルー(William Unruh, ブリティッシュコロンビア大学)は、ブラックホール近くの波の振る舞いと、動いている流体のなかの音波との間の類似性を示した。今回、ブリティッシュコロンビア大学の物理学者、ヴァインフルトナー(Silke Weinfurtner)、ペンライス(Matthew Penrice)、ウンルーおよび技術者のテッドフォード(Edmund Teddford)とローレンス(Gregory Lawrence)は、別の類似した系である表面波を使ってホーキング過程を研究した。彼らは航空機の翼のような流線型の物体を水の流れる水路のなかにおいて、流速の大きな領域を作り出した。下流にできる長波長の表面波は、この領域に沿って上流へと伝搬することができるが、障害物によってさえぎられ、短波長の波に変わる。障害物はいわゆるホワイトホール、つまりブラックホールの時間を逆向きにしたもののように、内側には放射が全く入ってこないように、しかし外へは放射が逃げ出していくようにふるまう。波の変換は誘導放出の類似であり、研究チームが測定した変換後の波の振幅は、予想される熱分布とあっていた。そのうえ、系が非線形性や乱流、粘性をもっているにもかかわらず、そしてさまざまなグループの数値計算による研究と同様に、新しい結果はホーキング放射の包括的な性質を示している。
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ブラックホールとかホーキング放射とかの実験って、せいぜい巨大加速器のあるCERNなどでしかできないのだろうと思っていましたが、水路のなかに飛行機の翼のようなものを置けばできるんですねえ。もちろん、ここで書いてあるよりはるかに大変な実験なんだろうとは思いますが、とても意外です。

ブラックホールの逆過程のホワイトホールによって波の波長が変わるのは誘導放出と類似である、と書かれています。誘導放出というのはざっくりいうと光などの電磁波を増幅させる過程のことを言います。レーザーなどにも用いられていて、ブラックホールなんかに比べるとはるかに身近な現象です。へえー、そんなもんなんだなあ、っていうのが私の印象です。

ホーキング放射の実験が無理なく実現可能な実験装置でできてしまうことを見出したのもすごいと思うし、実際にやってしまったのもすごいと思います。こういうのをセンスというのでしょう。

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テーマ : 自然科学
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バラッくま

Author:バラッくま
色々あったのち東京深川在住の科学技術系の研究者。
クマに似ている。最近はカピバラにも似ている。
専門: 量子エレクトロニクスなど。
休みのときは、(有休を取ってまでして)落語、スキューバダイビング、スポーツ観戦(相撲など。両国が近いのでうれしい。)、音楽鑑賞などを少しずつ。

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