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すそ野が大事

フットサルの試合のこと。相手ボールのコーナーキックで私がマークしていたのはどうやら審判だったらしく、一点取られてしまいました。

こんな私ですが許してください。

さて、本題です。


ウィキペディアの充実ぶりを調べると、その分野のすそ野の広さが概ね分かるんじゃないかと思っております。もちろん、誰が書いているのかわからないし、責任の所在も分かりませんから、ウィキペディアに載っていることを論拠にするということはあり得ないのですが(そういえば、某大学でポスドクをしていたときに、「実験レポートの参考文献にウィキペディアを載せる学生がいる」と嘆いていた人がいたのを思い出します)、タダな上にインターネットが使えればすぐにアクセスできてとにかく便利ですから、私もよく見ます。書き込める人が多くいて、それを読んで喜ぶ人がたくさんいるような環境だと、中身が充実するんじゃないかと思うわけです。実際、日本語版のマンガに関する記事は非常に充実していて、例えばキャプテン翼のキャラクター紹介の細かさには驚かされます。

私は日本語ネイティブですから、当然日本語版にアクセスするわけですが、物理周辺の分野に関して言えば英語版の充実ぶりがすごいなあと、最近思っております。例えば、最近よく話題になる「ニュートリノ」という用語に関して日本語版英語版を比較すると、日本語版もかなりの力作ですが、英語版には驚かされます。冒頭の部分以外は全体を眺めた程度なので内容については何もコメントできませんけど(問題は多々あるのかもしれませんけど)、これだけ章立てしてこれだけの分量になっているのを見るだけでも充実ぶりが伝わってきます。もちろん英語の場合だとネイティブ以外の人でも書き込む人が多いでしょうから、他の言語に比べて充実しやすい環境なのでしょうけど、やはりアメリカ、イギリスの科学技術におけるすそ野の広さ(代表クラスの人だけじゃなく全体的に強いということ)が現れているんじゃないかと思うのです。

すそ野の広さに関係していると思いますが、研究開発現場における機器は海外製品、特にアメリカ企業の製品が多いです。研究機器はもちろん技術的には最先端であることが多いですがマーケットが小さいので、ソニーやパナソニックやアップルといった巨大企業が作っているものはそれほどありません。私が使っている機材で例を数社挙げるなら、アメリカならアジレントニューポートナショナルインスツルメンツ、日本なら浜松ホトニクスシグマ光機R&Kといったところです。たいていの人にはピンとこないでしょうが、これでもかなり大きい方で、もっとずっと小さい会社もたくさんあるんです。日本の会社は概ね質の良い製品を作りますが、必要なものを全て取り揃えようとすると海外製品に頼らざるを得ないというのが実情だと思います。アップルでもマイクロソフトでもインテルでもない企業にも優秀な技術者が行き渡っているのだろうと思うと、アメリカの科学技術のすそ野の広さを感じてしまうのです。

最近の日本の電機メーカーの不振を背景に、「なぜ日本の電機メーカーはiphoneを作れなかったのか」という趣旨の記事をよく目にしますが、大企業ばかりを見ていると見落とす部分もあるんじゃないかと思います。(もっとも私は経営戦略に関してど素人なので、深いことを突っ込まれると答えようが無いですが、思ったことを書いてみました。)

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どこも厳しい

イギリス滞在中のアパートはこちらの受け入れ研究者が手配してくれたのですが、その時のお話。

家主にコンタクトしたとき、最初のうちは空き部屋があるか分からないようなことを言っていたのに、

「どこの人?」
「日本人」

といったとたんにコロッと態度が変わり、

「ああ、空いてるよ。」って話になったそうです。

家主いわく「日本人は決して問題を起こさない」のだそうな。


さて、本題です。

今日はBBCのニュース”Physics cuts will damage UK competitiveness, MPs warn (物理学研究の予算カットはイギリスの競争力にダメージを与えるだろうと、国会議員たちが警告している)”について。
http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-13381294

研究所でもそんな話をちらほら聞くし、ニュースを見てても医療関係などの予算カットの話がよく出てきます。イギリスの経済状況の話は詳しく知りませんが、おそらく昨年のメキシコ湾での原油流出事故(イギリスのBP社が担当)などが大きく響いていると思われます。

科学全般の平均で4年間にわたり14.5%、天文に関しては20%の削減とのこと。うーん、これは非常に厳しい。

国外から集まってきた研究者がまた出て行ってしまうというような懸念も書いてあります。英語圏だと、世界中から優秀な研究者をかき集められる半面、待遇が悪くなると出て行ってしまう可能性が高いわけですね。生粋の英国人研究者も英語のネイティブだから、アメリカやその他の国にポストがあれば、わりと簡単に移ってしまうのかもしれません。

翻って日本はというと、言語的には外から入ってきづらいし、外へ出て行きづらいのでしょう。大地震の影響で、しばらく厳しい予算カットが予想されますが、イギリスほど流出の懸念はないのでしょう。特に理由が天災であるだけに、予算が減ったからという理由で露骨に海外流出する研究者は少ないのではないでしょうか。しかし、この期に乗じて変な改悪を推し進めたり、理不尽な要求を研究者に突き付けだしたら、できる人からいなくなっていって、私のような者しか残らなくなるかもしれません。

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謙虚なくらいがちょうどいい[一般向け]

先日、健康診断にて初めて超音波で内臓を調べました。

昔から異常にくすぐりに弱いので、厳しかったです。
リラックスなんてできるわけないです。

次回やるときは想像しただけで前の晩眠れそうにないなあと思いつつ、本題です。


今日は、「ある作家のホームページ」というWebサイトの「自然科学と技術」→「技術亡国」と入っていったページから。
http://www.geocities.jp/fghi6789/shizen.html#gijutsuboukoku
内容は、第一段落に集約されているように、
*********************
日本人の中には、自国を「技術立国」あるいは「技術王国」などと誇らしげに呼んで得意になっている人が少なからず存在する。だが、その実態は、「物真似立国」または「技術亡国」とでも呼ぶのが相応しいお粗末な状態だ。日本が技術立国であるという考えは愚かな幻想に過ぎない。
*******************
というものです。かなり長くて、第一章と第二章くらいしか読んでいないのですが、内容に納得する部分が多々あったので、いくつかピックアップしてみます。

*******************
(技術亡国という)このような主張に対して、「お前はそれでも日本人か」と激怒している人がおられるかもしれない。しかし、私は日本が憎くて、このような事を言っているのではない。日本の科学技術のお粗末な実態を認めなければ、結局日本人が損をしてしまう事になる。
**********************
日本の科学技術をお粗末と切り捨てるのは言い過ぎとは思いますが、のっけからかなり共感しました。よく経済学者などが、「日本の技術力は世界一だから…」とお題目のように言いますが、一応科学者または技術者の端くれである私からすると、こういうのあんまり好きじゃないんです。技術力って一言でいうけど、とても広範囲ですし、それを実際にやっている人じゃないと分からないこともたくさんあるのに、本当に精通して言っているのかなあと思うことがあります。あまり連発すると、本当に世界一の日本人がうかばれないと思います。

**********************
GDPが大きい
・・・
GDPというのは、企業の経営で例えると売上高のようなものだ。企業の最終的な目標は利益をあげる事であって、売上高はその過程に過ぎない。・・・企業にとって大事なのは、収益性だ。これは国家についても似たような事が言える。
********************
5年ほど前にドイツに住んでいた時に、「日本人ってGDPの数値から考えられるほど豊かな暮らしをしてないよなあ」とは漠然と思っていました。休暇は一年で2か月近くあるし(研究者はこんなには休まないけど)、コンビニのような店は8時で閉まっちゃうし、日曜日はレストランしか開いてないし。これで日本の方がGDPが低かったらひどい話です。とは、この文を読む前から感じてはいましたが、GDPが必ずしも国の豊かさを示さないことがよくわかりました。

*********************
独善的な技術者
・・・
利権以外で技術評論家や工学部教授などに見られる大きな問題点としては、日本の科学技術関係者の中には社会性に欠ける独善的な人が少なくないという事だ。明石海峡大橋のような超巨大建造物やリニアモーターカーの開発に見られるように、日本の技術者は、橋の大きさや列車の速さといったハードウェアの見かけの数値にこだわり、ソフトウェアの優劣や費用対効果といった面に全然興味を示さない人が少なくない。・・・言わば、「技術のための技術」というような、それ自体が目的になっている場合が少なくない。
******************
グサッ。
去年の事業仕分けのスーパーコンピュータやロケットの話とも関連しますかね。ただ確かに、費用が大きくなるにつれて、夢以外の具体的な効果を要求されるのは当然でしょう。低予算で頑張っている大多数の研究者にとっても、そうであってくれなきゃ困ります。

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自分のための自己犠牲
日米を比較した場合に日本がチームワークの国のように言われる事が少なくない。だが、それは本当にそうなのだろうか。プロ野球を例にとって、チームワークについて検証を進めていこうと思う。
・・・
斎藤投手が勝利投手になる事はほぼ確実と思われたが、九回表に斎藤投手と交代した救援投手陣が踏ん張りきれずに同点にされてしまった。結局、横浜が延長戦を制したが、「斎藤隆投手を勝ち投手にしてやりたかったでしょう」という質問に「そんな事のために野球をやっているんじゃない」という権藤監督らしいアメリカ的な考えの答えが返ってきた。
*********************
横浜ファンとして、あの頃がなつかしい。
と、それは置いておいて、確かに、勝つためにやっているんですから、そこを間違っちゃいけないでしょうね。そのほか、上司が帰るまで部下が残業する「付き合い残業」もバッサリ切り捨てています。幸い私の職場ではこういうのはないですが、よく聞く話ではあります。経費削減なら真っ先にやめるべきことでしょうが、サービス残業として付き合い残業を半ば強要されたら、あまりに悲しい話です。

もうキリがないのでこのへんで。

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金の卵は埋れているのか?

人参をみじん切りにしようとしたら、切れ込みの入った輪切りになってしまいました。

分かる人にしかわからないと思いますが、本題です。

今日は、パリティ、Vol. 25 No.02 2010-02, pp. 34-40から。以下タイトルと簡単な要旨のみ引用します。

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ブラック・スワンを探せ

マーク・ブキャナン(小野嘉之 訳)

掲載か掲載拒否かの判断は、科学的革新に対し多分に狭量で、保守的な対応になる傾向が強い。私たちは、革新的なアイデアを枠外に押し出しているのではないだろうか。
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ここでは、ブラックスワンとは誰にも予言出来ず、予言のチャンスさえ無いような、ごくまれにでてくる成果を指しています。これに対して、ホワイトスワンというのは、パラダイムを維持し、確立された考え方に基づいて出てくる成果をいいます。

内容としては要するに、本当に価値のある研究成果というのは、出てきたときにはどれほどの価値があるのか誰にも分からないようなものなので、それを正当に評価するのはとても難しい。こうした研究が冷や飯を食わないようにするにはどのようなシステムが必要なんだろうか?といったことです。著者はイギリスの方で、文章に出てくるのは主にアメリカですから、別に日本に限ったことではなく、世界的な問題だということでしょう。

学会で注目されている分野で卓越した成果を上げ続ける研究者は、とても目立ちますけど、ホワイトスワン狙いということなんでしょう。予算はこういったところにたくさん流れてきます。そしてハイレベルな競争にさらされます。立ち止まっている暇はないでしょう。ブラックスワンのことなんて、考える余裕すらないと思います。これは科学業界全体の傾向だという趣旨のことが本文に書いてあります。しかし、ブラックスワンこそが科学の進歩にとって重要であるならば、これが潰されていくようでは由々しき事態でしょう。

研究の評価というのは難しいと思います。論文の本数とか、掲載された論文誌の格(これはれっきとして存在します。近年ではインパクトファクターという指標でランク付けされています)とか、そういう基準は客観的ではあるんでしょうけど、ホワイトスワンの白さを評価しているだけかもしれません。実際、先駆けになるような研究や、ノーベル賞の対象になるような研究は、さほど有名でない論文誌に載っていることが多々ありますからねえ。自分の主観でもいいから、内容をちゃんと見ることが重要なんでしょうなあ。

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さりげなく仕分けられていたとは…

まずは、高エネルギー加速器研究機構(高エネ研)の鈴木厚人機構長の静かなる怒りのコラムを御覧下さい。
http://www.kek.jp/intra-j/director/column/index.html

わたくし、恥ずかしながら何も知りませんでした。まさか高エネ研すばる望遠鏡スーパーカミオカンデといった錚々たる研究機関や設備に縮減が言い渡されていようとは。高エネ研といえば、昨年ノーベル賞を受賞した小林誠先生の所属していた研究所。すばる望遠鏡については、最遠方の銀河の発見など、このつたないブログの中でも触れました(「すばる望遠鏡400億円は高いか、安いか?(前編後編)」「地球に似た星は見つかるのか?」)。スーパーカミオカンデというと、これまたノーベル賞受賞者の小柴先生らが開発したカミオカンデの後継。こんな日本の基礎物理実験に重要な機関の予算が、「特別教育研究経費」という名前に隠れてさり気なく縮減されようとは。しかも、建設費じゃなくて、維持費ですからねえ。スパコンやロケットの開発費凍結で吠えている場合ではなさそうです(スパコン、ロケットの関係者の皆様スミマセン。当然そちらも重要だと思っておりますが、こちらはあまり世間に知られてないので)。この他にも重要なものがありそうです。

こんなワールドクラスの研究施設がストップしたら、役に立つのか定かでない基礎研究が止まったではすまされず、もっと実害が出てきそうな気もします。研究には国際競争は当然ありますけど、これらの研究施設ともなると共同研究などの国際協調もあるでしょう。こんな風に削減して、世界中から信用を失わなければよいのですが。例えば、環境技術などの国家間プロジェクトが発足したとして、日本は技術はあるはずなのに何故かイニシアチブが取れないなあ、と思っていたら実は基礎研究の削減で信用を失っていたことが響いていた、なんてことがなければ良いですが。政治的なことはよく分からないので完全に憶測で書いてますけど、全くありえないわけでもないように思うのですが。

以下で文科省が事業仕分けについての意見を募集しています。
http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/sassin/1286925

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プロフィール

バラッくま

Author:バラッくま
色々あったのち東京深川在住の科学技術系の研究者。
クマに似ている。最近はカピバラにも似ている。
専門: 量子エレクトロニクスなど。
休みのときは、(有休を取ってまでして)落語、スキューバダイビング、スポーツ観戦(相撲など。両国が近いのでうれしい。)、音楽鑑賞などを少しずつ。

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