量子物理学の発見 その5 ラザフォード

近所にモンタボーというパン屋があり、サフジュというパンが10周年(?)を迎えたということで、キャンペーンをやっていました。もらった紙を次持っていくとサフジュ1個サービス。さらに、サフジュPR用の絵を描いて送って抽選で当たると、サフジュ20個サービス。
何が何でも副賞はサフジュのようです。そうくるかと思いましたが、この副賞で絵を描いてくれる人は、間違いなくサフジュを愛してやまない人でしょう。そう考えると、正しい副賞の付け方なんですね。
言い添えておくと、サフジュ美味しいです。ロングセラーなのもわかります。
以下、通販サイト
http://www1.enekoshop.jp/shop/mont-thabor/


さて、本題です。
今回は「量子物理学の発見 ヒッグス粒子の先までの物語 (レオン・レーダーマン、クリストファー・ヒル 著、 青木薫 訳)」の「第2章 そのとき、ニュートン力学は崩れた」より。大昔の研究「物質が原子でできていて・・・」といった話から、順を追って解説がなされていきます。その中で、ここでは、原子の中心には原子核というプラスの電荷を持つ密集したものがあって、その周りを電子が回っていることを突き止めた、有名なラザフォード散乱の実験について取り上げます。

学生の頃から実験屋としての突出した能力があったようで、1890年代の頃に自作の無線装置で800 m先と信号を送受信していたとのこと。電子の発見で有名な当時のキャヴェンディッシュ研究所の所長J. J. トムソンに「ラザフォード君ほど、独創的な研究をしようという熱意と、そのための能力を持つ学生を、わたしは知りません。」と言わしめたほどのようです。

ラザフォード散乱の実験というと、薄い金箔にアルファ粒子と呼ばれる比較的に重くてプラスの電荷を持つ粒子を打ち込んで、その進路がどう逸れるかを調べた実験です。粒子の逸れる角度や、逸れる粒子数の割合から、原子の中のプラスの電荷は薄く分布しているのではなく、非常に小さな領域に密集しているんだと見出したわけですが、どうも狙いすましてやったわけではなさそうです。当時は、プラスの電荷は薄く分布しているはずと考えられていて、そうだとすると粒子はほとんど真っ直ぐに金箔を突き抜けてくると予想されますから、ラザフォードと仲間たちは、突き抜けてくる粒子を精密に測定していたわけです。しかし、念には念を入れようと思ったらしく、金箔に跳ね返されて戻ってくる粒子が一つでもあるかをチェックしようと思ったそうです。すると、8000個に1つの割合で戻ってきたのだそうです。ラザフォード曰く「それはまるで、十五インチ砲弾を、一枚の紙切れに向けて発射したら、砲弾があなたの方に戻ってきて命中したようなものだ」

いや、やってみるものですな。そしてまた、やってみようと思って、本当にやってしまうのが才能というものなんでしょうな。検出器の場所を変えればいいだけじゃないかと思うでしょうが、ただ場所を変えただけでは何も見つからないはずです。私はこの実験をやったことはないですが、大体そういうものだというのは分かるんです。計画通りの実験をするのだって実際にやってみたら相当骨が折れますから。

私もいくつか予想外の実験結果というのはあるのですが、どうしても本筋の実験の方に忙しくて、そこを調べ尽くす余裕がないんですよね。また、予想外の実験結果は大発見の元かもしれないとはいえ、ほとんどの場合何も分からずに終わりますから。しかしそんなこと言っているようでは小者に終わってしまうなあと、反省した次第でありました。


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量子物理学の発見 その4 小さいものには巨大装置

ID:w366n2
「量子物理学の発見」シリーズに入ってから、誤ってにほんブログ村の「科学ブログ」バナーを貼り忘れておりました。
「気に入っていただけたら1クリックを」と書いたすぐ下が本の広告でしたから、「気に入ったら本を買え」みたいな感じになっておりました。
このブログはアクセス数の割には、このバナーとか「拍手」とか「いいね」とかを押してくれる方が多いだけに、申し訳なく思っております。
貼っておきましたので、気に入っていただけたら是非押していただけると幸いです。


さて、本題です。
今回は「量子物理学の発見 ヒッグス粒子の先までの物語 (レオン・レーダーマン、クリストファー・ヒル 著、 青木薫 訳)」の「第2章 そのとき、ニュートン力学は崩れた」より。とてつもなく小さい素粒子を調べるのに、なぜLHCのような一周約27 kmもの巨大な装置が必要なのかについてです。

可能な限り高いエネルギーで陽子どうしを衝突させないとバラバラになってくれない(素粒子に分かれてくれない)からと、漠然と思っていましたが、そういう説明じゃないです。答えは「粒子に大量のエネルギーをつぎ込めばつぎ込むほど、その粒子は小さくなる」から、とのことです。なにせ、原子の中の原子核の中の陽子の中にある素粒子を調べようとしているのだから、とにかく小さいものを作り出さないと調べられない。そのためには、ひたすら大量のエネルギーをつぎ込む必要があるということのようです。

例えば、光はレンズで集光できますが、完全に一点に絞れるわけではなく、光の波長くらいのサイズ(1ミクロンくらい)までしか集められません。回折限界なんて呼ばれています。もっと波長の小さい波なら、より小さい領域に集めることができます。

量子力学によれば、粒子には波としての性質もあって、エネルギーが大きいほどその波長は小さくなります。だから、粒子にエネルギーをガンガンつぎ込めば、波として見たときの波長がどんどん小さくなリます。そうすると、レンズのようなものを使えば、すごく小さい領域に集められるということになります。

当たり前のように書いてありますけど、普通細かいことをやろうとすると用具がどんどん小さくなりますからね。小さい領域に集めようとしてどんどん装置が大きくなるというのは、なんとなく直感的には合わないですよね。でも、確かにちょっと小さいものを見ようとしたら虫めがね、もっと小さいものは光学顕微鏡、さらに小さいものは電子顕微鏡。確かにどんどん装置が大きくなっていきますね。それが究極まで行ってLHCですか。そう言われると妙に納得してしまいます。

その一方で、先ほど光はどれだけ絞っても1ミクロンくらいの大きさにしかならないと書きましたが、実は、より小さく尖らせた針先に、1ミクロンよりずっと小さいサイズの光を生み出せるんです。近接場光と呼ばれています。かたや大型化してエネルギーを増やしてより小さく絞り込もうとする人もいれば、かたや針先を鋭く尖らせて光のサイズを小さくしようとする人がいたり、わけ分かりませんな。


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量子物理学の発見 その3 LHC大爆発

晩ごはんが鍋だということで、スーパーに買い物に出かけたら、白菜とネギが両方売り切れていました。
手も足も出ません。
妻には「緊急事態です!」と通報しました。





さて、本題です。
今回は「量子物理学の発見 ヒッグス粒子の先までの物語 (レオン・レーダーマン、クリストファー・ヒル 著、 青木薫 訳)」の「第1章 宇宙の始まりを探る旅」より。欧州原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)で、2008年に起きた爆発事故についてです。

磁石から磁石へと電流を流していた導線のはんだ接合が溶けて外れたのだそうです。導線が切れたくらいで爆発事故って何故に?と思いたくもなりますが、要は世界最大のコイルを使っていますから、急に電流が途切れると電磁誘導で飛んでもない電圧がかかるんですね。2 km離れたところにあった鉄製の扉が、蝶番からちぎれ飛んだそうです。6トンの極低温の液体ヘリウムがLHCトンネル内に流れ出したそうです。恐ろしい実験ですこと。しかし、物損はとんでもなかったですが、怪我をした人は一人もいなかったそうです。安全管理がしっかりされていたということなんでしょうね。

この事故から四年もしないうちに、ヒッグス粒子発見に至ったそうです。私がこの4年間にやってきたことを思い起こすと・・・。いやはや、すごい復旧です。最近の安全管理のうるささからすると、再開の許可を得るのに5年くらいかかりそうなものですけど(そもそも永久にこの実験禁止と言われそう)。ヨーロッパは違うんですかね。

それにしても、この著者の描き方が、「こんな苦難にも負けずに達成したんだ。すごいだろ。」って感じで、まあポジティブですな。「申し訳ありませんでした」みたいな感じがないですもの。事故の描き方も、例えばこんな感じです。引用します。(「第1章 宇宙の始まりを探る旅」「LHC、大爆発」より)
「LHCでは、人間が作り出したその稲妻が、あたかも北欧神話の主神ウォータン(オーディン)の笏から放たれた巨大な雷のように、周囲の磁石を吹き飛ばし、磁石を低温にして超伝導状態に保つための液体ヘリウムを満たしたクライオスタットを突き抜けた。」

私もかなりポジティブな方だと思いますが、ここまでの自信はないですな。

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量子物理学の発見 その2 陽子どうしを超高速でぶつける

前回、朝から晩にかけて体重が1.5 kgも増えたと書きましたが、今朝体重を計ったら昨晩に比べて1.6 kg減っていました。
こんなことがあって良いのでしょうか?こうなると体重計がおかしいんじゃないかと思ってしまいますが、買って数ヶ月だし、正しいんでしょうな。家庭用計量器マークもあるし、わざわざ計量法で規制しているくらいだから、正しいんでしょうな。タニタだし、正しいんでしょうな。
となると私の1.6 kgはどこに行ったのか?寝汗だと思うと、自分のパジャマが気持ち悪くなってきますな。



さて、本題です。
今回は「量子物理学の発見 ヒッグス粒子の先までの物語 (レオン・レーダーマン、クリストファー・ヒル 著、 青木薫 訳)」の「第1章 宇宙の始まりを探る旅」より。スイスとフランスの国境近くにある欧州原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)に関し、技術的なことが書かれています。

やることは、単に陽子と陽子を超高速でぶつける。一言で言えばただそれだけなんでしょうが、10の-15乗メートルくらいの大きさの陽子を、一周約27 kmのリング内で光速に近い速度まで加速して衝突させるわけだから、そんな生易しいものではないんですね。

陽子を円軌道で動かすのに、磁石を使うそうです。要はフレミングの左手の法則で、円軌道の中心方向に向かって力をかけるんでしょうね。分かりやすい話ですが、陽子の加速に伴って磁場を強くし、中心方向への力を強くしていかないといけません。しかもちゃんとコントロールしないと、陽子が円軌道から外れてしまいます。これで最終的にとてつもなく小さい陽子どうしを衝突させるわけだから、とんでもなく精密なコントロールなのでしょう。

磁石には絶対零度の-273度近くまで冷やして使う超伝導磁石を用いているそうです。電気抵抗がゼロの超伝導体コイルに大電流を流して強大な磁場を作るわけですが、磁石の構造そのものに自分が発生させた巨大な磁場がかかります。それが原因となって磁石の内部にわずかな変動が起きて、超伝導状態ではなくなってしまう「クエンチ」と呼ばれる現象が起こることがあるらしいです。そうなると、溜まったエネルギーが一気に発散されるからでしょう、爆発が起こりうるらしいです。

だから、「クエンチ保護システム」がきっちりと設けられていて、被害を最小限に食い止められるようになっているそうです。大電流が流れている超伝導体を覆う被覆は、実は電気をよく通す銅だそうです。普通は導線の周りにビニールなどの電気を通さない被覆をしますから、被覆が銅というのは怖い気がしますが、超伝導体の方が抵抗が小さいので超伝導体の方に電流が流れ、クエンチが起きれば銅の方に電流が流れて被害を最小限に食い止めることができる。なるほどなあと思います。

裏にある技術はやはりとんでもないのでしょうな。この一般向けの書物で書けることなんて、本当にごく一部なんでしょうし。

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量子物理学の発見 その1 科学は最高の投資先

メタボっぽいので、最近筋トレしつつ、毎日朝晩体重などを計っているわけですが、ある日、朝から晩にかけて1.5 kg増えるという信じられない事態が起こりました。

心当たりは、夕食で食べた陳○一麻婆豆腐店の麻婆豆腐です。確かにカロリーが高そうだったけど、まさかダイレクトにここまで体重が増えるとは・・・
ただ、名誉のために言っておくととても美味しかったです。と言って、埋め合わせておきます。




さて、本題です。
今回からしばらくは「量子物理学の発見 ヒッグス粒子の先までの物語 (レオン・レーダーマン、クリストファー・ヒル 著、 青木薫 訳)」より。ヒッグス粒子などの素粒子物理学に関する最新のトピックスに関する話が書かれているようです。(全部読んでいないのでわかりません。前回の「重力波は歌う」では全部読んでから書いていましたが、読みながら書くことにします。忘れちゃうんで。)

今回は、「第1章 宇宙の始まりを探る旅」より。導入部なわけですが、いきなり予算がつかなかったことへの恨み節から始まります。こういう科学本も珍しいと思います。要するに、アメリカで予定されていた超伝導超大型加速器(SSC)のプロジェクトが1993年に中止になってしまったことの話です。ヒッグス粒子(今日は説明しません)は2013年ごろにスイスとフランスの国境近くにあるCERNという施設で発見されたわけですが、このSSCが実現していればその10年くらい前に発見されていたはずらしいです。それは関係者にしてみれば悔しいでしょうねえ。実験自体が巨大施設で行われるだけに、予算を得るには議会を通らなければならなかったり、それはそれは大変そうです。いくら自分たちが頑張ろうとしても、議会を通らないから打ち切りというのは、悲しくなってきますね。

ポール・ローマーという経済学者曰く、「経済は、科学への投資によって成長する」そうです。これを引用して、科学に投資しろと、熱弁しております。「科学への投資が大きければ大きいほど、配当金は高くなる」「投資先は多様なほうがいい。みんなに仕事と豊かさをもたらす大きな経済の動きを生み出したければ、基礎科学に投資しなければならない」「投資に対する見返りには、ほとんど際限がない。そればかりか、これほどうまい投資先はほかにないと言ってよい。」等々。そして、CERNで生み出されたウェブ・システムを例に出して、基礎科学への投資の重要性を強調しております。

アメリカというと、我々からすると羨ましいくらいに科学技術予算が潤沢にあるようにイメージするのですが、結構ビッグプロジェクトが潰されているらしいです。もうアメリカはダメだ。これから経済を成長させられるのはヨーロッパ、中国、インドなどだろう、と述べられております。単純に科学技術予算でわかるのか?と思いますが、単純にそれで分かるそうで、少なくとも物理学の研究者にとっては分かりきったことだそうです。私はそこまでは分かっておりませんでした。修行が足りないようです。

とりあえず、「それが何の役に立つのですか?」とか、プロジェクトの計画段階で経済的な見返りがあることを示せとか、少なくとも日本では問われることが多いですが、やめてほしいものです。そして、やめてくれと自信を持って言っていいんだと思わせてくれるような、本書の書きっぷりでありました。

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プロフィール

バラッくま

Author:バラッくま
色々あったのち東京深川在住の科学技術系の研究者。
クマに似ている。最近はカピバラにも似ている。
専門: 量子エレクトロニクスなど。
休みのときは、(有休を取ってまでして)落語、スキューバダイビング、スポーツ観戦(相撲など。両国が近いのでうれしい。)、音楽鑑賞などを少しずつ。

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