燃費と電費の関係

この間の日本対イングランドのサッカーは面白かったですねえ。

3点とも日本のセンターバックがスーパーゴールを決めたのに試合で負けましたからねえ。

ワールドカップ本番は闘莉王と中澤の2トップで決まりだろうと思いつつ、本題です。


今日はオプトロニクス5月号pp.125-135「太陽光発電と電気自動車(続)(島田 禎晉 著)」から。

地球環境がらみで様々な文献が出ていますが、この文献は専門外の方が割とニュートラルな立場で書いているように思われます。「マスメディアの大部分はCO2削減が人類の崇高な目標・義務であると言わんばかりに囃し立てていて、これに真っ向から反対するわけではないけど、押し付けがましいところが気になる」という、割と私が思っていることに近いので、読んでみることにしました。

太陽光発電と電気自動車について述べられていますが、ここでは電気自動車に焦点を絞ります。書かれていることを参考にすると以下のようになります。(正しくは原典をご参照下さい)

・ガソリン車に比べると、電気自動車の方がエネルギー効率が約4倍高い。

・しかし、原油を精製・運送してガソリンとして使用される効率は約90%なのに対し、発電して送配電網を経て利用者に届く電気の効率は約40%である。

・これらを勘案すると、電気自動車の方がエネルギーを約44%節約できる。

・2007年のデータでは自動車の平均燃費は約9 km/リッターと推定される。これを16 km/リッターに向上させれば、全自動車を電気自動車に置き換えたのとエネルギー効率で等価になる。このくらいなら、電気自動車に頼らなくても、ガソリン車での地道な選択肢がまだあるんじゃないかと論じられている。

・CO2に関しては、電気自動車の方が約58%削減できる。夜間充電の場合はこれが26%になる。(この部分が私には分からないが)

・5万台の電気自動車を30分間で急速充電する場合の充電パワーは原発1基分に相当する。

・充電スタンドは、商売になりそうもない。


それで、私の勝手な意見としては、

・10-20年の間に大型車まで含めて全てが電気自動車に移行できるとは考えづらいので、電気自動車の普及で上記のようなエネルギーやCO2の削減量に近未来に達するとは思えない。さらに、製造にかかるエネルギーやCO2排出まで考えると、どれほど優位であるかはよく分からない。とりあえず、ガソリン車の燃費向上は必要不可欠だろう。以前のエントリーで述べたように年率4.4%でガソリン車の燃費が向上したとすると、計算上は13年で発電・送配電まで含めた電気自動車のエネルギー効率に追いつく。(こんなにうまく行くとは思えませんけど…)

・電気自動車本体のエネルギー効率はすでにほぼ飽和している。総合的なエネルギー効率を向上させるには現在約40%の発電・送配電の効率を上げるしかないが、可能かどうか分からないし、可能だとしても相当のコストと労力を必要とするだろう。

・クライメートゲート事件などに象徴されるようにCO2による地球温暖化の根拠に疑念が持たれている現状などを踏まえると、見積りから丁寧にやり直した方が良さそうである。そもそも、(著者に失礼かもしれないが)専門外の著者にこのような寄稿の余地があること自体がおかしい。著者は相当数の文献に当たっているけれども、ガソリン車の燃費と電気自動車の電費を比較した文献に出くわしたことはないようである。


気に入っていただけたら1クリックを
にほんブログ村 科学ブログへ


スポンサーサイト

テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

目標があると頑張れる

サッカードイツ代表キャプテンのバラック選手が大怪我をおい、ワールドカップ絶望だそうです。

ペンネーム(バラッくま)に名前を勝手に頂いている一ファンの私としては、残念でなりません。

近年のドイツは知名度の高い選手が少なく前評判が低いですが、地味にいいところまでは行きます。

でも、バラック抜きじゃ今回はさすがに厳しいか…

それでも、懸案だった決定力が本当に不足しているのかすら分からない惨状の日本代表よりはマシかと思いつつ、本題です。


今日は太陽光発電ロードマップ(PV2030+)から。
https://app3.infoc.nedo.go.jp/informations/koubo/kaiken/BE/nedopressorder.2009-06-08.2039491773/gaiyou.pdf

ロードマップというのは、将来の技術動向や需要を予測して、いつまでに何を目指すかをまとめたものです。PV2030+は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)という独立行政法人がまとめたもので、太陽光発電に関する2050年までの目標を記載しています。色々書いてありますが、重要なのはp. 3の図2と表1だと思います。

"Grid Parity"という耳慣れないキーワードがありますが、ざっくりいって、問題は如何に電力量あたりのコストを下げるかということで、そのために太陽光から電気への変換効率を上げるなり、製造コストを下げるなり、寿命を延ばすなりしていくということでしょう。今は40円/kWhくらいだそうですが、これを2050年に約1/6の7円/kWh以下にする事を目標にしているようです。

太陽電池に限らず、エネルギー技術というのはコストとの戦いのようです。とりあえず石油に並ばなければいけませんから。時価ですけど、120円/リッターくらいですから、ジュースなんかより遥かに安いんですよね。比較の対象がおかしいでしょうけど。まあとにかく、現状ではコストで石油に勝つのは難しくて、新技術はまずそこを何とかしなきゃいかん、というのは間違いないようです。

このロードマップ通りに進むと、太陽光発電の進歩が私の人生とタイミング的にオーバーラップします。孫に「私の若い頃はこんなのなかったんだよ」なんて話すんでしょうか。ただ、予定通り進んでも賄えるのは2050年に全電力量の10%くらいのようです。「あれ、そんなもんなの?」と思ってしまいましたが…。鳩山首相はいつまでだか忘れましたがCO2を25%削減とか言ってましたっけ?どんな算段なのか、詳しく伺いたいものです。

あと、「クライメートゲート事件」などで批判されているように、地球温暖化が嘘だったらどうしましょう?化石燃料の枯渇を考えれば太陽光発電は必要でしょうけど、開発のタイムスケールも、金や人の投資の規模も全く変わってきそうです。「CO2で地球温暖化が起きないと研究開発目的に疑問が出てしまうから困る」なんていう都合は抜きにして、臨機応変に見直すことも大事なんでしょう。人もお金も限られてますから。

気に入っていただけたら1クリックを
にほんブログ村 科学ブログへ

テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

バラッくま

Author:バラッくま
色々あったのち東京深川在住の科学技術系の研究者。
クマに似ている。最近はカピバラにも似ている。
専門: 量子エレクトロニクスなど。
休みのときは、(有休を取ってまでして)落語、スキューバダイビング、スポーツ観戦(相撲など。両国が近いのでうれしい。)、音楽鑑賞などを少しずつ。

FC2カウンター
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
気に入っていただけたら1クリックを
人気ブログランキングへ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード