日本は少し広くなったのか

昨日の朝、なぜか水が出なくなりました。

どの蛇口をひねっても出てこない。これは困った。トイレもか、と思って流してみたら流れたのでちょっとホッとしたところ、

「なに貴重な水流してるの!」と妻に怒られました。

・・・そうだ、トイレの水はタンクに溜まっているんだった・・・


この抜けっぷりが私らしいと思いつつ、本題です。

今日は、国土地理院の資料から。
大震災でどのくらい地殻が動いたのかがわかります。
水平方向 http://www.gsi.go.jp/common/000059672.pdf
上下方向 http://www.gsi.go.jp/common/000059674.pdf

これって、普通に知られているんでしたっけ?私は場所が動いたことはニュースか何かでなんとなく知っていますが、まじまじと図を見たことはなかったです。特に上下方向は見たことなかったような・・。もし、よく知られたことだったらすみません。

最も動いた所で、東に5m30cm, 下に1m20cmも動いたんですねえ。もっとも、数百年かけて少しずつ動いてきたものが元に戻ったというのが正しいのかもしれません。

これだけ多くの地点で精密に位置の変化を観測できたのはGPSのおかげなのだと思うので、これだけはっきりとしたデータが取れたのは、GPS普及後である今回が初めてなのではないかと思います。地震や防災を研究する上でも、重要なデータなのでしょう。GPSは偉大ですね。それと、平常時から場所がどのくらい動いているのかを地道に観測してきた方々に感謝しましょう。

ちなみに、カーナビや携帯などでGPSを使うと、さもそれら電子機器が凄いかのように感じてしまいますが(もちろん電子機器も凄いのですけど)、超精密な原子時計を載せた人工衛星を使って測位システムとしてGPSを運用しているのはアメリカ海軍です。決して電子機器の小さな箱の中で全ての機能が完結しているわけではありません。GPSを運用すべく、何台もの原子時計をシステムとして扱って、世界トップの精密さで時刻を刻むお仕事をする部署がアメリカ海軍天文台という所にあることは意外と知られていないんじゃないでしょうか。GPSを使うときは、アメリカの凄さも少し感じておきましょう。

みんなご存知かもしれないお話を元に、あまり知られていないであろう話になんとか展開して見ましたが、
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とにかく逃げよう

仕事である業者に電話して「フナクラさんをお願いします」とお願いしたら、クリハラさんという方に取り次がれました。

2日連続で。

相当日本語の発音が悪いのかと思いつつ、本題です。


今日は津波の予想について。

パリティ Vol. 26, 2011-11, pp. 34-41「津波のメカニズム (高橋智幸 著)」によると、津波の高さの予想というのは沿岸に押し寄せる前の沖合の津波を観測して予測されているわけではなく、陸地で観測された地震波のみで行なっているそうです。そして、事前に10万通りを超えるシミュレーションを実施してあって、地震が発生すると、震源の位置や深さ、マグニチュードから最も近いタイプの津波を選び出しているのだそうです。

ただし、この方法はマグニチュード8程度より小さい地震には有効だけれども、マグニチュードが大きい地震では過小評価される可能性がある。東日本大震災でもそうだったし、2004年のスマトラ沖地震でも過小評価されていたとのことです。

大地震だと過小評価されてしまうというのは、予報としてはかなり問題でしょう。やはり、実際の津波を観測して沿岸での津波予想に結びつける必要がありそうです。この文献でも、それは指摘されています。波の高さを測るGPS波浪計というものがあるそうで、それをもっと沖合に設置するとか、人工衛星や海洋レーダーなどのリモートセンシング技術をもっと活用するとか、いろいろ案があるようです。

あんなでかい津波はそう滅多にあるものではないですから、予測システムが正しく機能することを確認するのが難しいと思いますが、なんとか良いシステムを作っていただきたいものです。

それにしても、津波って大抵の場合は起きても数10 cmですから、急に10 mと予想が出ても、「ほんとかよ」とか言いながら5分位家族会議してしまいそうです。さすがに数年後にもう一度大津波が来たらとりあえず逃げようと思うでしょうけど、数十年後にはみんな危機感を失っているでしょうか。逃げたけれども大したことなかった、というのが何度繰り返されても、逃げ損だと思わないように自分に言い聞かせておくことが必要でしょう。津波に限らず、しつこく逃げ続ける癖をつけておいた方がいいのかもしれません。

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どこにでも当てはまりそうな教訓

冷蔵庫を買いました。

今までは、お互いが独身時代に使っていた小さな冷蔵庫を2台並べていました。やはり大きい冷蔵庫はいいですね。小さいのだと、野菜がすぐ腐ってしまいますから。

ただ、買って思うことは、

「エコポイントがあったときに買えばよかった・・・」

とりあえず冷蔵庫は2つあっただけに、買い換えるのが面倒くさかったんですね。他に買いたいものもあったし。

戦略のまずさが我々らしいと思いつつ、本題です。


今日は、パリティ Vol. 26, 2011-11, pp. 28-33 「地震波形から見た震源像(八木勇治著)」より。東日本大震災(気象庁の命名では「平成23年度東北地方太平洋沖地震」と呼ぶそうです)についての記事です。

色々と科学的な解析が述べられています。2010年から30年以内にマグニチュード7.5クラスの宮城県沖地震が起こる確率は99%と予測されていたそうですが、今回のようなマグニチュード9クラスの地震は予想されていなかったようです。ページの半分位は、予測出来なかった理由と、防災のためにこれからどうすべきなのかに割かれています。その中から、一部を引用します。

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たとえば、GPSから明らかになった固着すべり分布を元に、貞観地震の震源モデルが議論されていたならば、地震学者はこの地震の規模を含めて、より正確に危機を認識できた可能性があった。他分野との共同作業には、表面的な知識の伝達に留まりやすいという特性がある。表面的な知識伝達だけでは、今回と同じ過ちを繰り返す可能性が高い。間違いをくりかえさないためには、学際的な研究の深化が必要となってくる。
・・・
巨大地震の被害予測をするさいには、分野横断的なとり組みが必要となる。このときに、分野ごとに明確なグループ分けを行い、それぞれのグループを出力と入力のみで連結するシステムでは、誤差伝播則と同じメカニズムで、あるグループの出力の不確定性が無視されることによって、他のグループにおけるクリティカルな現象の見落としが発生しやすく、想定外による被害の拡大が発生しやすい。この不確定性による被害の拡大を軽減するためには、各分野の結果や解釈のみが共有されるのではなく、各分野内でクリティカルになる現象を洗い出し、他分野の結果や解釈を含めて再検討する枠組みを構築することが急務であると感じる。学際的な取り組みの深化が必要となってくる。
*************************

相手にとって何が重要かがわからずに結果を出しても、結局は伝わらないということなのでしょう。かなり深いことを言っているように思いますし、私も納得するのですが、どうにも具体例が思いつかなくてもどかしいです。伝言ゲームを想像すればよいのでしょうか?いや、なにか違う気がする・・・。でも、こういうのって、どこの世界にもあるんじゃないかなあと思います。

「学際的な取り組みの深化」がどうすれば成し遂げられるのか、私にはよくわかりませんが、敏腕のディレクターを置けば解決するのでしょうか?しかし、それぞれのグループの専門性が高いだけに、それらを包括的に理解している人というのはなかなかいない気がします。相手によって説明を変える位の事を徹底するだけでも、少しは変わってくるかもしれません。

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魚は意外と大丈夫?

クラシックのコンサートに行って、窓口でチケットを買おうとした時のこと。

窓口の人は、「Stravinsky(ストラビンスキー:作曲家)のですよね?」と尋ねたようなのですが、”Stravinsky”を一発で聞き取るのは私には難しい。

「ん?studentって言ってるのかな?学割でもあるんだろうか?もう結構いい年なのに、若く見えるのかな。」

“No, I’m not a student.”と言ったあとに、妙な空気が流れました。

英語がうまくなる前に、こういう空気に慣れてきてしまった・・・


さて、本題です。

今日はScience (Vol. 332 no. 6027 p. 292)に載っていた
“Fukushima Radiation Creates Unique Test of Marine Life's Hardiness”
(「福島の放射能は海洋生物の耐性についての類のないテストを可能にする」)
から。
http://www.sciencemag.org/content/332/6027/292.full?sid=c134fb29-01ef-4101-994b-96e5a8fd9728

以下、気になった部分を和訳してみます。(詳しくは原文を参照ください)

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・放射能に関する地球化学者(?)であるWilliam Burnett氏(フロリダ州立大学)は、海洋汚染に対するリスクに対してのオーバーリアクションに対して警告している。「寿司を食べるな、というのはクレイジーだ」

・放射能の環境への影響を研究する機会であり、多くの国がこの機会を利用しようとしている。

・海洋生物に対する放射能の影響がほとんど分かっていない理由の一つは、海洋生物が放射能に対する高い耐性を有していることである。

・Bruno Fievet氏(フランスのIRSN)によれば、甲殻類や軟体動物の致死量は、人間の致死量に比べて何ケタも大きい。

・実験室でこうした海洋生物に放射能で危害を与えようとしたら、福島で観測されているのに比べてずっと高い放射能レベルが必要である。

・単純な構造と海水の塩分がそうした海洋生物を守っている。

・Fievet氏は、すぐに影響がないことが心配しなくてもいいという理由にはならない、と付け加える。

・植物プランクトンはプルトニウムを100万倍濃縮し、それを食べるより大きな生物はプルトニウムを消化できずに排せつし、海の底に沈んでいく。

・ほとんどの研究者は海が巨大であるために最終的には自浄するであろうと信じている。

・Nicholas Fisher氏(Stony Brook大学)いわく「漏らした量は、バケツに一滴垂らしたくらいなものである」

・核実験やチェルノブイリにおける研究から、セシウム137を蓄積した大きな魚は時間とともにそれを排せつすることが分かっている。

・人間が海に捨ててきた他の毒物に比べると、放射能漏れによる日本の魚に対する危険性はとても低い、と研究者は結論づけている。
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私は今イギリスにおりますが、近い将来日本に帰ります。そのとき、いくら政府が大丈夫と言っても、なるべく汚染されていないものを食べたいというのが人情でしょう。ニュースなどをみると、海に放射能が大量に漏れているようなので、魚介類が一番危険そうな気がしておりました。しかし、この記事を読む限り、種類を選べば、むしろ魚介類の方が安全なのでしょう。研究が進んで、早く正しい情報が得られることを期待しております。

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過失致死罪って・・・[一般向け]

尖閣のビデオを流した人が逮捕されましたね。

私にはなんであれが国家機密なのかが分かりませんでしたが。

あそこまでされても、海上保安庁側は追いかけて「止まりなさーい」と言うくらいなんだ、とか、いろいろ知ることがあってよかったと思いますけど。

どうやってあの漁船を止めたのかが不思議です。ぜひ説明を。願わくば画像付きで知りたいものです。

では、本題です。


今日は、日経サイエンス2010年11月号p. 26から。以下、タイトルと一部分のみ引用します。

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足元グラグラ  
  地震予知は念力による地震誘発と同じく不可能

S. マースキー


一方、「できなくても(何かはしたのに)非難される」という気の毒な立場にあるのはイタリアの科学者たちだ。彼らはまともな地震学者と火山学者、物理学者、工学者で、2009年4月6日にイタリアのラクイラ市で発生して死者300人以上、負傷者1600人を出したマグニチュード6.3の地震を決定的に予測できなかったかどで、過失致死罪で起訴されようとしている。いまのところ地震発生リスクは大まかな確率でしか評価できないのに(最先端の瞑想技術でも予知は不可能だろう)、これらの科学者たちは法廷で裁かれる恐れに直面している。
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にわかには信じられない話です。ほんとに信じていいんでしょうか?文化の違いと片付ければよいのでしょうか?

お医者さんは儲かるんだろうけど、特に産婦人科などは訴えられるリスクもあって大変なんだろうなあと思い、それに比べれば一介の研究者は気楽だよなあと思っていたのですが。地震予知ができないから過失致死罪って。しかも、一応先進国ですし。

地震予知が難しいのは、日本の緊急地震速報をみれば想像がつきます。どう考えても、地震予知の進歩ではなく、情報通信の進歩によるところが大きいです。結局現在でも、縦波(P波)と横波(S波)の伝搬速度の違いくらいでしか分からないんですから。

地震に限らず、地球のことは宇宙よりも分からないと言っている人もいました。イタリアの科学者たちの姿勢はやはり慎重だったようです。起訴されそうな科学者にはとても同情します。

イタリアの(たぶん世界中の)一般の方々からすれば、何を言っているのかさっぱりわからないことに関する研究は進歩するのに、なんでこんなに身近な地震のことが分からないんだ?と思われるのでしょうか。でも、そんなもんじゃないですかねえ。むしろ、日常的なものの方がすごく複雑で、科学の進歩によってより単純なシステムが作れるようになって分かるようになってきた、なんて話の方が多い気がします。

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プロフィール

バラッくま

Author:バラッくま
色々あったのち東京深川在住の科学技術系の研究者。
クマに似ている。最近はカピバラにも似ている。
専門: 量子エレクトロニクスなど。
休みのときは、(有休を取ってまでして)落語、スキューバダイビング、スポーツ観戦(相撲など。両国が近いのでうれしい。)、音楽鑑賞などを少しずつ。

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