重力波は歌う その6

稀勢の里おめでとう。
今までここ一番で勝ったのを見たことなかったように思うのですが、今回は・・・
今回はここ一番が来る前に白鵬がコケて優勝が決まっちゃったような・・・
いや、何だっていいんです、優勝すれば。
私はいつもそうやっています。

幕内優勝級の成果なんてないくせに、と言われたら返す言葉もないですが、本題です。
今日は「重力波は歌う」(ジャンナ・レヴィン著、田沢恭子・松井信彦訳、早川書房)の第6, 7章より。

重力波の話はとりあえず置いといて、ワイスさんのセリフを。(第6章)
「・・・アイデアを出すことと実際に手をつけることは大違いですから。別物なんです。若い人たちがアイデアを思い付き、どこかで発表して、自分のものにしたあと、その実現のために自分では指一本動かさないのを目にすると本当に腹立たしくなります。彼らは苦労して最後まで見届けたわけではありません。称えられるべきは、そして発表すべきは、そのアイデアを実現させた人たちですよ。」

科学的な何かを実現した時、その原理を考え出した人が偉いのか?それを実現した人が偉いのか?もちろん両方やったら文句なしですが。

なんとなくですが、「原理を考えた人が偉い」派の人の方が多い気がします。「実現した人」は、すでに考えられていた原理をそのままやっただけ、みたいな。特許のような知的財産の考え方からすると、「原理を考えた人が偉い」になるんでしょうね。でも、私はケースにもよりますが、7:3くらいで「実現した人が偉い」派なんです。それほど論理も信念もあるわけではなく、なんかそう思うといったところですけど。ワイスさんははっきりと「実現した人が偉い」派で、これほど確固として言ってくれると、「俺そんなに間違ってないよな」と思えます。

なんで私が「実現した人が偉い」派なのかと考えてみると、何か重大なものが実現されてから、何か過去にチョロっと書いたのを持ち出して「あれを最初に考え付いたのは私だ」みたいに主張する人がいかにもいそうだからでしょう。それを言うなら何かしら実現のための努力をしろよ、と言いたくなります。

さて、話は第7章ですが、通常の実験室レベルでは重力波検出は無理、とワイスさんは結論付け、ソーンさんやドレーヴァーさんとともに7000万ドルの巨大プロジェクトを立ち上げる方向に進みます。実験屋のワイスさんもドレーヴァーさんも巨大プロジェクトにはしたくなかったようです。科学技術というより、事務手続きとか組織づくりとか、煩わしいことが増えるでしょうし。7000万ドル分の経費内訳を積み上げるとか、議会を通すとか、いかにも面倒そうなのは想像できます。そして、この本を読む限り、このお二方は純粋に科学好きで、キャラ的に違うように思います。

ともあれ、マサチューセッツ工科大のワイスさんと、カルフォルニア工科大学のソーンさんとドレーヴァーさんのトロイカ体制がスタートすることになります。しかし、「船頭多くして船山に登る」はアメリカでも当てはまるようなのです。その辺はまた後日。

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復活か?

更新していない間にも重力波の発見があったり、とか科学の世界も日々進歩しているので、思い立ってそろそろブログを再開しようと思います。

一年たっちゃいました

全国各地でクマが出没しております。

やっぱり本物は怖いですねえ。今は冬眠前にたらふく食べているところなんでしょうか。

確かに私も最近食欲が増しております。

もう少し経つと一日中眠くなるのかなあと思いつつ、本題です。


気づいたらこのブログを始めて1年たっていました。

自然と怠惰に向かってしまう私が、よくぞ続けられたものです。ひとえに皆様のおかげです。(というほどリピーターの方が大勢いるのかはよく把握していませんが)

それほど更新頻度は高くないですが、冒頭のコネタにしても本編にしても、色々とネタを探しますから、自分にとってもそれなりにはプラスになっているかなあと思っております。これからも可能な限り続けていこうかと思います。

ところで、このブログの話を聞いた某英語の先生に、「高校の先生向け」とか「大学生初年度向け」のコラムをブログ中に書いてみたら、と勧められました。今までのところあまりターゲットは絞っておらず、結果的には一般の方には難しくて、ある程度理科に詳しい方むけのものが多いかなあと思っております。対象レベルは個々のエントリーによってマチマチですが、確かに題名か冒頭くらいにどういう方達に適していそうかを書いてみても良さそうです。はっきり書いておけば、例えば「高校の先生向け 科学」などの検索ワードでこのページが引っかかりやすくなりそうです。アクセス数アップなんていう卑しい気持ちを全面にだしつつ、これからネタ毎にそういったことを書いてみようかと思います。

「高校の先生向け」となると、生徒がへえーと思えるようなトピックを期待されるでしょう。また、分かりやすい上にウソが混ざっちゃいけないという難問が立ちはだかります。僕なりになるべくウソが入らないようにしてきたつもりですし、これからも出来る限りそうしていきたいと思います。私は教育現場のことはど素人ですけど、あまりに正しいかどうかばかりを気にしていると、授業が教科書に書いてあることばかりで味気なくなりそうです。私の書くネタでよければ、そっくりそのままドシドシ使ってしまってください。原典も極力のせるので、確認はできると思います。

「大学生初年度向け」となると、こういうトピックよりも、物理のお勉強の役に立つものが重宝されそうですが、そういうサイトでは「EMANの物理学」などにはどうあがいても太刀打ち出来ないでしょうなあ。まあ、ちょっと足を踏み入れたくらいの方々にちょうどいいネタがあったら、「大学生初年度向け」と書いておきますので、読んでもらえると幸いです。

次回からはいつもどおり物理のトピックスを探して書いていきます。

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「恣意的」について考えてみる

朝の連ドラの結婚式のシーンを見て、自分の結婚式を思い出しました。

そういえば、三段重ねの盃を下からいっぺんに持ったなあ。

だってそういう形の、一体型だと思ったんだもん、と言い訳しつつ本題です。


筑波大学の長照二教授という方が、不適切なデータ解析をして論文を発表し、論文撤回の勧告に応じなかったという理由で、2008年に大学から懲戒解雇されました。長氏はこれを不服として大学と裁判で争っていましたが、先日地裁は長氏の全面敗訴となる判決を下しました。

とりあえず、長氏側のホームページのリンクを貼っておきます。内容と関係ないですが、髪型がとても特徴的な方です。(大学側はぱっと見つかりませんでした)
http://www.cho-teruji.org/

1年ほど前になりますが、日本物理学会誌(Vol.64, No. 4, pp.303-305)に解雇に抗議する田中茂利氏の投稿と、大学側の反論とが載っておりました。私の専門ではないし、とても詳細に調べることはできないので、本当のところは私には分かりません。ただ、印象として、大学側の主張はただ手続きの方法と決定した結果について述べているだけで、なぜそういう結論に至ったのかがほとんど分かりません。とりあえず一つだけ、「それはないだろう」と思う箇所を挙げると、「PoP論文(指摘された問題点を詳細かつ厳密に再検討した論文だそうです)が採択されたことは研究不正が存在しない証拠にはならない」というところです。これでは不正がなかったという証拠を持って来いと言われているようなものです。これじゃあ、告発された時点で負けといっても過言ではないでしょう。

裁判についてはこれ以上は触れずに、データ不正等についてちょっとだけ主観的に書いてみます。今回の事件は、全く無いデーターを捏造したのではなく、得られたデータをどう処理するかが問われているわけです。そこに恣意的な部分があってはならない、ということなのでしょうが、これは判断が難しいと思います。なぜなら、少なくとも意図をもって実験して、意図を持ってデータ処理しないと、何も成果が出てきません。なにげなく実験器具を並べて、出てきたデータを無の境地で解析すると成果が出るなんて、ありえませんもん。まず信号のかけらすら出てこないでしょう。絶対信号が出てくると長いこと信じ続けて、おぼろげながら出てきた信号らしきものを何とか頑張ってある程度明瞭にして、自らの主張を展開できるようにデータに適切な範囲で処理を施し、論文にまとめる。これは完全に研究者としての能力です。ただ安全なだけのデータ処理をしたら、逆に能力を疑われるかもしれません。もろに誤解されそうですが、恣意的なことと研究者の能力は表裏一体な部分もあると思うんです。おそらく明確な基準もなくて、研究者各々の主観によるところも大きいと思います。

真相は分からないですけど、あまりに倫理を厳しくしすぎて何も実験しない方がお得、なんてことにならないように祈るしか無いです。

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このブログを始めた理由

私は元々ブログなんてめんどくさそうなものを始めるタイプじゃないんです。

それが急に始めてみようかと思ったのには理由がありまして。

私は応用物理関係のとある研究者ですが、最近政権が民主党に変わりましたよね。
私の勤め先、何かと叩かれる独法なんですよ。
いや、さすがに潰されないだろうと思うのですが、
あるとき妻とこんな話をしまして...

私:「潰れたらどうしよう...作家にでもなろうかな。でも、いきなり本書いたって誰も買わねえか。」

しょうもない発想ですけど、私普段こんな感じですから、妻はこういうの慣れちゃってます。

妻:「ブログで人気になって本出す人って最近多いらしいよ。」

私:「なるほど。それいいねえ。」


ということで、やってみようかと思ったけど、私の日常なんぞ書いても面白かろうはずがなく、
いろいろ考えてみた結果、むしろ大真面目なネタの方が価値が出るんじゃないかと。

それで、物理のトピックでいこうかと。
誰が読むんだろうという懸念もあるけど、あえて小難しいレアなネタで押し通そうと思ってます。

ただ、本当に自分の専門についてバシバシ書いていったら、それこそ誰も入り込めなくなっちゃいそうです。
だから、あえて自分の専門外のトピックスを紹介していこうと思ってます。

「専門外って、あなた専門物理でしょ?」
とおっしゃりたい方、いらっしゃると思います。
でもね、実際に物理の研究者が専門にするところって、物理というカテゴリーの中のごく一部なんですよ。
例えば、ノーベル賞を取るような偉い先生だって、ちょっと専門がずれていれば、
「あの先生、誰?」
って感じになってしまうんです。
たぶん化学でも生物でも、似たようなものだと思います。

よく「タコツボ」なんて揶揄されたりするんですけどね。
狭い専門分野に閉じこもって出てこないみたいな。
だから、自己啓発という意味でも、あえて専門外を扱おうかと。
ネタはある程度一般向けの雑誌とかが月一くらいの頻度で出ているから、困らなそうですし。

ただのコピペじゃなくて自分なりの解釈なり、「ここさっぱり分からん」なり、入れていこうと思います。
たぶん、本当に専門の人が見たら、ツッコミ所満載だと思うけど、
あえて世界中に恥をさらすのも身の為かなあと思っております。


いつまでこのモチベーションが続くことやら...

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プロフィール

バラッくま

Author:バラッくま
色々あったのち東京深川在住の科学技術系の研究者。
クマに似ている。最近はカピバラにも似ている。
専門: 量子エレクトロニクスなど。
休みのときは、(有休を取ってまでして)落語、スキューバダイビング、スポーツ観戦(相撲など。両国が近いのでうれしい。)、音楽鑑賞などを少しずつ。

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